HIS、2024年度通期の業績予想を上方修正、一方で夏の海外旅行は低調、ビーチ低迷が「喫緊の課題」

エイチ・アイ・エス(HIS)は、2024年10月第2四半期(2023年11月1日~2024年4月1日)の業績が当初予想よりも上振れしたことを受けて、通期(2023年11月1日~2024年10月31)の連結業績予想を上方修正した。

売上高は2023年3月15日発表の3500億円から3600億円、営業利益は100億円から110億円、経常利益は90億円から110億円、四半期純利益は60億円から70億円の予想にそれぞれ修正した。

夏の海外旅行は2019年比で80%前後の回復を想定していたが、現状は60%程度で推移していることから、2024年度下半期の営業利益を3月15日時点の業績予想の67億円から52億円に下方修正。全体では上期までの好調な業績を加味し、100億円から110億円に上方修正する。

事業別では、旅行事業の営業利益は2019年度比72%の99億8000万円を見込む。下半期では、7月から9月の海外旅行の予約が現在のところ、2019年度比77%にとどまっており、特にハワイ・ミクロネシアが同52%と回復が遅れていることから、夏の集客を強化し、積み上げを図っていく。

同社矢田素史社長は「ビーチは収益性が高いため、喫緊の課題としている」との認識を示した。海外旅行全体の回復の遅れについては、円安、インフレ、燃油サーチャージ、航空運賃の高止まりなどの外的要因に加えて、「粗利を確保するために保守的な値付けになっている」として、旅行代金の増加にも言及した。

国内旅行では、強化デスティネーションの沖縄と北海道でオリジナルコンテンツで差別化を進め、収益性を上げていく方針。

訪日事業では、現地旅行会社へのB2B営業を今後も強化し、グループシナジーの最大化、中国以外からの団体旅行の受客強化する。現在、中国の受客を請け負うジャパンホリデートラベル(JPH)の2024年度第2四半期の取扱高が2019年同期比24.5%にとどまっているものの、欧米豪からの比率がアジアを上回っているという。

ホテル事業の営業利益は2023年度の5億7700億円から33億円への増加を見込む。「変なホテル」におけるプレミア化やリゾート化を進めていく計画だ。

2024年度第2四半期の業績と今後の取り組みを説明する矢田社長。2024年第2四半期、営業利益が前回予想から大幅に上振れ

また、HISは2024年10月期第2四半期の決算も発表。3月および4月の日本発海外旅行間際の増加、好調な欧州からのインバウンド需要、インバウンド増加による国内ホテルの客室単価上昇などから、営業利益は3月15日時点の業績予想から24億円上振れし、57億5900万円を計上。売上高は、前期比156%の1612億円となった。

セグメント別では、売上高は旅行事業が同165.2%の1316億円、ホテル事業が同139.4%増の115億円、九州産交グループが同111.3%の120億円となった。

営業利益は、旅行事業が前年は35億円の損失から49億7000万円、ホテル事業が前年の5000万円から17億7000万円、九州産交グループが前年の1億700万円から2億9300万円とそれぞれ増益となった。

このほか、経常利益は60億8200万円(前年35億6100万円の損失)、四半期純利益は38億7700万円(前年は48億900万円の損失)を計上した。

このほか、海外旅行の方面別の売上高の構成比は、欧米豪が44%、アジアが40%、ハワイ・ミクロネシアが16%。また、海外旅行の販売チャネル別売上高では、コロナ前と比較して、インターネットが30%から41%に増加、一方、店舗は52%から40%に減少した。

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