コスト上昇を価格転嫁できている企業は78%、転嫁率は44.9%に上昇も重い企業負担

帝国データバンク(TDB)は、現在の価格転嫁に関する企業の見解を調査した。自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかを尋ねたところ、コストの上昇分に対して「多少なりとも価格転嫁できている」企業は78.4%。一方、「全く価格転嫁できない」企業は10.9%と前回調査(2024年2月)から1.8ポイント減少した。

また、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は44.9%。前回調査(2024年2月)から4.3ポイント上昇したものの、コストが100円上昇した場合に44.9円しか販売価格に反映されておらず、残りの5割以上を企業が負担していることを示す結果となった。

報道資料より価格転嫁率が高い主な業種では、「化学品卸売」(65.0%)や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(63.0%)などで6割を超えた。一方、「医療・福祉・保健衛生」(19.8%)が2割を下回ったほか、「娯楽サービス」(21.7%)、「金融」(25.8%)、「農・林・水産」(27.3%)などで価格転嫁率は低水準となった。

サプライチェーン別に価格転嫁の動向をみると、前回調査と比較して、全般的に価格転嫁はやや進展。特に、サプライチェーン全体に関わる「運輸・倉庫」(34.9%)は3割台に到達した。

TDBでは、価格転嫁に対する理解は浸透し、実際に転嫁が少しずつ進んでいるものの、原材料価格の高止まりや人件費の高騰などに加え、同業他社の動向、消費者の節約志向も相まって、進み出した価格転嫁が頭打ちになる可能性もあると指摘している。

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