日本政府観光局、「万博 + 観光」推進でプロモーション本格化、動画やデジタルアートから商品予約サイトへ誘導、地域のNFT配布も

日本政府観光局(JNTO)は、2025年4月に開幕する大阪・関西万博に向けて、「万博 + 観光」を推進するデジタルプロモーションを本格化させる。開幕までのフェーズに合わせてコンテンツを制作。JNTOサイトの万博特設ページから日本国際博覧会協会が運営する「万博 + 観光」商品予約サイトへの遷移を進めていく。

すでに配信が始まっている外国人ライターによる取材記事や取材現場ショート動画を拡充していくほか、新たに万博をテーマにした動画を8地域で制作。現在のところ、北海道、中国・四国、九州、沖縄の動画を公開しており、今後11月上旬までに東北、北陸・中部、関東、関西の動画も公開していく。

動画掲載ページでは、動画ショートカット機能、自分のタイミングで観光情報を確認できる機能、動画の旅程を可視化するマップ機能など、没入感とともにユーザーインターフェイス(UI)の機能性を高めた。

また、万博のテーマをもとに、日本の自然、食、文化の魅力を「水墨画」でデジタルアート化。10地域、各2枚のNFTを制作し、デジタルアートサイトで取得できるようにする。取得したNFTアートは、EXPO2025デジタルウォレットでコレクションすることも可能。まず、11月下旬に、北海道美瑛「青い池」、関東「富士山」、北陸「敦賀真鯛の一本釣り」、四国の「四国遍路」を公開する。

市場横断プロモーション部市場横断グループ次長の渡部顕氏は、「万博や日本に興味のある人をターゲットにしていく。NFT配布後の実用的な活用については、現在計画しているところ」と説明した。


高付加価値旅行者の地方誘客へ、国内ネットワークを構築

一方、2024年1月~9月の訪日外国人旅行者数の累計は2688万人となり、すでに2023年の年間累計2507万人を上回った。それに合わせて、旅行消費額も増加。2024年1月~9月の累計は5兆8582億円となり、これも2023年の年間消費額5兆3065億円をすでに上回っている。

延べ宿泊者数の回復率を見ると、2019年比で東京の増加が突出しているが、地方部も2023年11月以降は2019年の水準で推移している。欧米市場を中心に、地方部での延べ宿泊者数の伸びが、訪問者数の伸びを上回っている。メディア向け説明会では、こうした推移から、理事の出口まきゆ氏が「滞在期間が比較的長いロングホール市場からの旅行者が、地方を訪れている」と評価。「今後も地方誘客に力を入れていく」と説明した。

JNTOは、地方誘客の施策として高付加価値旅行の推進にも力を入れる。海外でのプロモーションに加えて、国内での関係者ネットワークの構築にも注力。その一環として、定期的にネットワーキングイベントを開催している。

今年度は、昨年度の4回を上回る6回を計画。10月22日におこなわれた八幡平及び周辺エリアと北陸エリアを対象にしたイベントでは、セラーとして地方自治体やDMO、事業者などが14社・団体、海外の旅行会社から手配を請け負うDMCがバイヤーとして20社参加。また、10月23日のせとうちエリアでは、セラー16社・団体、バイヤー18社が関係構築をおこなった。

今後、全国版を11月21日、アドベンチャートラベル版を11月22日、東北海道エリア、鹿児島・阿蘇・雲仙エリアを2025年1月20日、那須エリアおよび全国を1月21日にそれぞれ都内で開催する。

市場横断プロモーション部 高付加価値旅行推進室マネージャーの伊藤亮氏は、「DMCからは海外の旅行会社に紹介する情報が不足しているとの声を聞く。地域とDMCを結びつけるのがJNTOの大きな役割」と説明した。

このほか、ガイド不足で手配が困難になっていることから、海外からの手配依頼を断るDMCも多い状況を踏まえ、スルーガイド育成に向けて高付加価値旅行ガイド研修プログラムにも力を入れていく方針だ。

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