政府は2025年12月27日、令和7年度(2025年度)予算案を閣議決定した。一般会計総額は115兆5415億円で、当初予算案として過去最大。このうち、観光庁関連の予算は前年度比5.4%増の530億3300万円となった。内訳は2025年度が3カ年計画の最終年度となる「観光立国推進基本計画(第4次)」に沿った形で、引き続き「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組」「国内交流拡大」の3柱に取り組む内容を計上。このうち、441億円を国際観光旅客税から充当する。
また、東日本大震災からの復興枠は2024年度並みの7億6500万円。令和6年度(2024年度)補正予算には、オーバーツーリズム未然防止・抑制に向けた緊急対策の158億2000万円を含む543億2400万円を計上した
大阪・関西万博契機にプロモーション促進
3本柱の中で最も予算規模が大きいのは、「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組」で、前年度比5.6%増の464億1800万円。「戦略的な訪日プロモーションの実施」に前年度比3.7%増の130億円を充て、日本政府観光局(JNTO)を中心に、大阪・関西万博を契機とした日本各地への誘客プロモーションが主軸に取り組む。
新規では、「質の高い消費と投資を呼び込むためのデジタルノマド誘客促進事業」、「観光コンテンツ事業者の収益性改善モデル構築事業」にそれぞれ1億円を計上。世界的なデジタルノマド市場の拡大を受け、日本も今年4月から在留制度を施行しており、今後、さまざまなニーズに即した観光地づくりを進めるため、モデル5地域を選定し、受け入れ整備やモニターツアーを実施するとした。
地方誘客を推進するうえでネイチャーアクティビティをはじめとしたコンテンツ事業者の収益性改善も喫緊の課題で、継続的に販売がおこなえるよう中長期的にわたる戦略の策定を進める。
また、外国人旅行者向け免税制度については、2025年度税制改正で「リファウンド方式」への移行が決定されているため、課題への対処、周知広報について1600万円を計上した。
ICT活用の受け入れ整備に注力
一方、「持続可能な観光地づくり」に関する2025年度の予算額は前年度比5.1%増の53億9900万円。増額が目立つのは、「ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化」(同88.5%増・18億6600万円)、「DMOを核とした世界的な観光地経営モデル事業」(同66.7%増・2億5000万円)だ。
特に、ICTの活用については、インバウンドの増加に向けて広域的な周遊に資する一体的な環境整備の取り組みを支援するとして、多言語化など従来のメニューに加え、新たに日本版・公共ライドシェアの導入といった二次交通の高度化などの補助事業も盛り込んだ。
このほか、令和6年度(2024年度)補正予算ではオーバーツーリズム対策を重視しており、観光客の受け入れと住民の生活の質を確保しつつ、持続可能な観光地域づくりを実現するためには、地域自身があるべき姿を描き、実情に応じた具体策を講じることが有効であると言及。地域一体型、実証・個別型などさまざまな取り組みを総合的に支援する方針だ。
また、3本目の柱となる国内交流拡大については、同39.3%減となるものの、「第2のふるさとづくり」を中心に4億600万円を計上。アウトバウンド関連をみると、若者の海外への関心を高め、中長期的な増加にも寄与するとして海外教育旅行の促進のための2000万円(前年同期並み)にとどまっている。
具体的な内容は観光庁の資料から参照できる。