このほど、ハワイから「APEC 2011ハワイ」の社長兼最高経営責任者(CEO)として、米国務省を支援しAPECイベントの成功に大きく貢献したグレッグ・ヤマナカ氏(写真)が来日した。人材トレーニングや役員向けの研修をメインビジネスとするLearning Bizグループの会社の代表を務め、MICEプログラムの作成などに携わるなどハワイのMICE業界における第一人者だ。そのヤマナカ氏にMICEのプランナーが注力すべきポイントなどを聞いた。
ヤマナカ氏は、過去にMC&A Inc ディスティネーション・マネージメント・カンパニー(DMC)の社長を務め、北米の一大企業のひとつに成長させた経験も持つ。その際には、IBMやトヨタ、フォード、マイクロソフト、アップルなど名だたるグローバル企業を顧客として400以上のMICEを取り扱ってきた。
そんなヤマナカ氏が一番印象に残っているのは米国企業がハワイで行った5000人のイベントだという。ハワイ島の溶岩を活かして自然と一体になった会場を設営。エンターテイメントでは、伝説のロックバンドのローリングストーンズを呼び、すべての車両に企業ロゴを配した75台のバスで参加者が会場に乗り付けた。
こうした経験を踏まえて、ヤマナカ氏はMICEプランナーが重要視すべきことは「クライアントとの信頼関係」と「ニーズの把握」だと断言。ふたつのポイントは、両輪であり切り離せないもの。ニーズを把握することが、満足度の高いMICEのプランと実施につながり、それが信頼となる。その信頼は、さらに顧客理解を深めニーズを的確に把握することができるという好循環だ。
さらに、オーガナイザーに対して「どんなことも可能にする」姿勢でいる必要があるという。これは事前の準備段階における交渉や、実施段階での現場対応などタイミングを問わず「信念をもって全力で対応することだ」と語る。精神論のように聞こえる言葉だが、大型の各種イベントを成功させた経験者の説得力のある言葉だ。
なお、ヤマナカ氏は「MICE市場は変わってきている」との認識。エンターテイメントなどでパーティーの演出に資金を投入してきた北米市場が、インセンティブ(報償)旅行からチームビルディングなどの研修旅行に変化が起きつつある流れだという。こうしたトレンドも抑えながら、MICEビジネスを的確に提案したい。
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ミーティングプランナーの重要性とは?発展のカギは女性力 -世界のMICEトレンド(2)(トラベルボイス編集部:山岡薫)