国民生活センターはこのほど、全国の消費生活センターに寄せられた旅行関連のトラブル状況をとりまとめた。それによると、2015年度の旅行関連相談件数は合計3545件で、そのうち約半数を占める1669件がネットで予約した旅行に関するもの。ネット予約の結果に関する相談件数だけをみると、2011年度の836件に対し、2015年度は1669件と約2倍に増大した。
先に発表されたフォーカスライトジャパンの調査によれば、日本のオンライン旅行市場規模が2兆9千億円、オンライン販売比率は33%に至る規模に成長している。また、今回の調査でも見受けられたように、特に海外旅行のネット購入では半数以上が「商品の選択肢が多すぎて混乱する」と感じている点を指摘する調査結果もある。ネット予約のトラブル増加は、オンライン旅行予約が拡大・浸透した結果ともいえるが、サービス提供側ではトラブルを最大限に防ぐ十分な配慮がますます必要になってくるといえるだろう。
旅行に関するトラブルの相談件数の推移は以下のとおり。
どんなトラブル? ―システム関連やコミュニケーション系などケースはさまざま
相談内容としては、例えば「海外旅行サイトで予約後、予約確認メールが届いたにもかかわらず、現地で予約が取れていないといわれた」「予約中にエラーが出たため別の予約をしたら"二重予約"になっていた」「予約内容が、自分が選択した内容と異なる」など、消費者が注意していても回避しにくいシステム上のトラブルも多く見受けられたという。
他にも「代金を支払ったが、航空券を受け取らないまま事業者と連絡が取れなくなった」といった事業者の倒産などによるもの、「半年後の航空券を解約したいが代金の50%の解約料がかかる」「予約内容を訂正したいが、日本語の顧客対応窓口がない」「返金に関する顧客対応窓口の説明が間違っていた」といった相談も見受けられたという。
特に海外旅行サイトでは、トラブルが発生した際に日本語でコミュニケーションがとれないケースがあるほか、予約画面は日本語表示されているにもかかわらず、コールセンターでは日本語対応がされない、日本の法律などを用いた交渉が難しいなど、日本人が戸惑う要因が少なからずあるようだ。
今回の調査を受けて国民生活センターでは、契約前に旅行サイトの所在地情報を確認すると同時に、申込前にキャンセル料や契約条件・予約内容を十分に確認してほしいと助言。また、予約確認メールなどは旅行が完了するまできちんと保管し、トラブルになった場合は消費生活センターなどに相談してほしいとしている。
今回の調査は、国民生活センターと全国の消費生活センターが管理する相談情報データベース「全国消費生活情報ネットワークシステム」に蓄積されたデータを分析したもの。2016年8月20日までの登録データが対象。「旅行に関するトラブル」には、短期留学ツアーや国内外のパック旅行など、旅行代理業に関する相談が含まれる。