トリップアドバイザーは、日本国内のサービス強化を進めていく方針だ。同社代表取締役の牧野友衛氏は、「日本人の特長として、海外旅行での利用が主で、国内旅行で利用される割合が低い」と話し、国内施設での利用を増加させていくとともに、日本人ユーザーによる国内旅行での利用を促進していく方針を明らかにした。
*写真は記者会見のプレゼンテーション資料
アプリもアップグレード、地域別ディレクトリー検索も可能に
トリップアドバイザーではB2B向けのサービスとして、掲載施設のオーナー自身がコンテンツや写真を追加し、評価レポートや競合比較の閲覧も可能な「オーナー管理ツール」を提供している。ホテル向けには「オーナー管理ツール」の有料版となる「ビジネスリスティング」を提供しており、今後こうしたツールの利用を拡大させていく方針だ。
現在のところ同社サービスを利用する日本の宿泊施設、レストラン、観光施設の数は約70万件だが、さらに上積みを狙う。
また、旅行におけるスマートフォンの利用が急速に伸びていることから、モバイルアプリの改善にも力を入れていく考え。日本のスマートフォンの普及率が、ますます増加し、2019年には70%に達する予測があるなか、牧野氏は「旅行中に現地でも使えるサービスをアプリによって提供していきたい」として旅行中の旅行者へのアプローチ(タビナカ)を重視。訪れた場所を自動的に示してくれる「トラベルタイムライン」機能やコンテンツをダウンロードしオフラインでも利用可能な機能をアピールした。
また、日本人ユーザー向けには、今後、LINEログインへの対応やアカウントを開設。地域名でのディレクトリー検索機能の提供も始めた。
日本の地方への関心が高まるインバウンド
インバウンド市場については、「世界の日本への関心は高い」と説明。アジア太平洋地域のなかで日本に関する閲覧数は世界全体で24%、アジア太平洋域内でも21%でともにトップとなっているという。一方で、牧野氏は「ヨーロッパや南米での閲覧数はまだ低い。今後取り込める余地はある」とした。また、アメリカのユーザーのなかでの日本の閲覧割合が全体の2%に過ぎず(1位はメキシコで12%)、中国での13%(タイと並んで1位)に比べると低いことから、今後さらに伸びる潜在性があるとした。
また、最近の特長として地方への関心が高まっていることを挙げた。2016年6月の結果では、海外からのアクセスが伸びている県は石川が前年比59%増でトップ。以下、茨城(同54%増)、富山(同47%増)、鳥取(同42%増)、佐賀(同41%増)と続く。牧野氏は「この結果からも、ゴールデンルート以外への関心が確実に高まっている」と分析した。
2014年の経済効果は640億米ドル、2,200万件の旅を新たに創出
このほか、牧野氏はオックスフォード・エコノミクスがこのほど発表した2014年におけるトリップアドバイザーの世界経済への貢献について報告した。
それによると、トリップアドバイザーは、2,200万件の新たな旅行(トリップアドバイザーがなければ実現されなかった旅行)と3億5,200万泊の新たな宿泊を創出。旅行件数だけでなく、1件あたりの旅行日数や目的地での滞在期間も長くなったという。経済効果は世界で640億米ドル相当。世界の旅行支出全体の1.3%に相当した。
オックスフォード・エコノミクスでは、トリップアドバイザーが持つ透明性、信頼性、幅広いコンテンツ、検索・予約機能の4つの特性が世界の旅行市場の拡大に貢献していると分析した。