観光庁は2018年4月、「楽しい国 日本」の実現に向けた提言をとりまとめた。政府の目標である「2020年までに訪日旅行消費額8兆円」達成を目指し、体験型観光による消費を促進するもの。昨年10月に設置した「『楽しい国 日本』の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」にて検討をおこなった。
提言では、歴史や文化のみにとどまらず、新たな観光資源の開発やインバウンド向けコンテンツの充実などを行うことを前提に展開。「体験型コンテンツの重要性」「マーケティングの視点の必要性」「体験型コンテンツの造成と価格設定の考え方」「流通の在り方と広告の手法」「人材の確保・育成と安定した雇用、経営基盤の確立」などについて、課題分析を経て促進すべき方向性と施策を整理している。
例えば「体験型コンテンツの造成と価格設定の考え方」では、主な課題として「飲食」「エンターテイメント」などの優れたコンテンツ同士の掛け合わせが不足していると指摘。また、日本人は無料でサービスすることを良いと思っていたり、海外比較の結果低価格に設定してしまう傾向があるといった点が課題だと分析する。
今後進むべき方向性としては、神社仏閣、城郭、庭園、自然など、日本にしかない観光の「場・資源」に、宿泊、飲食、音楽、アートなどの「機能・コンテンツ」を掛け合わせ、現地でしかできないユニークな体験を創出することを提言。さらに外国人のニーズに合わせた安定的なサービス提供をおこなうためには、国際マーケットを視野に置いた適切な価格設定を実施し、ガイドや交通、宿泊と連動させることで単価を上げる工夫もおこなうべきだと述べている。
加えて、体験型コンテンツの推進に向けた具体的な施策を、(1)地域固有の自然やお祭りなどを通じた「定番化」、(2)ナイトタイムエコノミーやモーニングタイム、ビーチなどを活用した「新規コンテンツの掘り起こし」、(3)チケット購入支援やVR・ARなどを活用した「観光の充実を支える仕組み」の3つの軸で整理。国内外の先進事例を交え、現状分析と今後の対応方針をまとめている。