京都市観光協会は、2019年の京都市内主要ホテルにおける宿泊実績を発表した。現在、新型コロナウイルスの発生によって京都市内の宿泊客数が減少傾向にあるが、その影響は2020年1月下旬以降に出てくる見通し。
発表されたデータによると、京都市内58ホテルにおける2019年の延べ宿泊客数は、前年比10.7%増の661万2812人となり、伸び率では2014年の調査開始以来最大を記録した。内訳は、日本人宿泊客数が同3.0%増の325万2994人、外国人宿泊客数が同19.3%増の335万9818人となった。
外国人客数は、好調なインバウンド需要を背景に、ラグビーワールドカップも追い風となり、直近4年間では最も高い伸率となった。一方、日本人客数は、調査開始以来、初めて前年を上回り同3.0%増加。台風19号の影響などもあり10月以降は減少傾向にあったものの、10連休となったゴールデンウィーク需要や前年の西日本豪雨による減少の反動も影響した。
宿泊客数の増加に伴い、稼働客室数が前年比11.8%増加した一方、宿泊施設の増加によって販売可能客室数が同16.0%増となったことから、客室稼働率は前年より3.1ポイント低下の82.3%となり、調査開始以来最も低い数値となった。しかし、客室稼働率の前年同月差に注目すると、5月に単月で最も大きな下げ幅となる7.0ポイント減(2018年90.9%⇒2019年83.9%)を示した後は、徐々にその差は縮まり、10月~12月の3ヶ月においては平均2.1ポイント減にまで縮小した。
客室稼働率の月別繁閑差を見ると、2019年は最繁忙月が4月で89.8%、最閑散月が1月で69.0%となり、繁閑差は20.8ポイント。2016年以降20ポイント前後で推移している。
外国人比率は前年を3.4ポイント上回る46.9%となり、調査開始以来の最高値を更新。月別でも、7月を除く全ての月で過去最高値となり、特に桜シーズンの4月は単月として過去最高値となる56.3%を記録した。
外国人延べ人数を国・地域別でみると、中国が同38.5%増と大きく伸長し、構成比においてもすべての月で1位を堅持し、年間でも30.8%と、調査開始以来、単一市場で初めて3割を超えた。一方、韓国は日韓情勢の悪化などにより、調査開始以来初めて減少し(前年比17.2%減)、構成比も5位(4.5%)から6位(3.1%)に順位を下げた。
2019年の特徴として、ラグビーワールドカップ出場国の伸長が際立ち、延べ人数の伸率では、イギリスが同44.4%増、オーストラリアが同17.1%増、フランスが同15.2%増となり、出場国以外でもドイツが同20.1%増、イタリアが同12.6%増、スペインが同11.9%増と欧米豪市場が大きく拡大した。
このほか、京都市観光協会が提携するSTRの調査結果では、客室収益指数(RevPAR)における京都の伸率は9.6%減となった。新規ホテルの開業等による客室数の供給増を背景に、客室稼働率(OCC)が低下(前年比5.2%減)し、その結果、一部の宿泊施設にて価格競争が生じて、平均客室単価(ADR)も減少(前年比4.6%減)したことが要因と見ている。