CNNなど海外メディア報道によると、ニュージーランドとオーストラリア両政府は2020年5月5日、海外旅行の渡航制限の解除に向けた第一歩として、タスマン海を横断する両国間路線に限定して、相互の往来を再スタートする構想を明らかにした。
このほどニュージーランドのアーダーン首相が、オーストラリア政府の閣僚会議に参加し、モリソン首相や各州代表らと協議した。実現すれば、コロナ収束後に海外への渡航緩和に着手するモデルケースとして注目される。ただし両国首脳は、実施時期については明言を避け、まだ多くの準備期間が必要であるとの考えを示した。
両政府の発表によると、ニュージーランドとオーストラリア間を往来する「タスマン海横断の航空ルート」を「コロナウイルス(Covid)安全ゾーン」と認定し、到着後や帰国後の2週間の自主隔離は不要とし、相手国への訪問やスポーツ交流などを再開できるようにすることを検討している。
あくまで感染拡大が収束し、安全を確保できる状況になっていることが絶対条件としつつ、疲弊する観光・交通産業の需要喚起や貿易・経済の活性化を促すことは、両国にとって有益だとしている。
さらにアーダーン首相は記者会見で「両国間の安全ゾーンがうまく機能するようであれば、これを他の海外デスティネーションとの間でも、渡航再開の青写真として活かせるのではないか」と話した。
ただし実現までには、多くの準備が必要となる。オーストラリアでは、国内での州を越えての移動にも制限がある状況だ。アーダーン首相は「お互いに、自分が感染を広めることはなく、相手からの感染もないと確信できる、安心して旅行できる時期」が到来してから実施するとの方針だ。
今回の会合は、感染抑制で成果を上げているニュージーランドでのコロナウイルス対策について、オーストラリア側が情報提供を受けた。現在、両国ともにコロナウイルス感染拡大は収まりつつあり、5月5日時点で、ニュージーランドでは新規感染者が2日連続でゼロとなった。オーストラリアでも5月3~4日の感染者数は14人と減少している。