世界旅行ツーリズム協議会、経済における観光の重要性を報告、海外旅行者34人で1人の雇用創出、経済効果は直接効果の倍

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、観光の社会的重要性をまとめた報告書「Social Impact Paper」の最新版を発表した。この報告書は、経済成長だけでなく、社会的な進歩、豊かなコミュニティの実現、雇用創出、貧困からの脱却、イノベーションや起業において、観光が重要な役割を果たしていることを示すもの。

報告書によると、観光産業の成長は経済全体の成長よりも早い。たとえば、2011年から2019年にかけて、東南アジアの観光関連GDPは年6.7%成長となり、経済全体のGDP成長率3.7%を上回った。中東でも、経済全体のGDP成長率は0.3%に対して、観光関連GDPが3%の成長だった。

また、雇用については、海外旅行者34人につき1人の雇用が生まれており、特にアフリカでは11人に1人、アジア太平洋では13人に1人、中東では24人に1人の雇用が創出されるなど、観光が社会全体にとって重要な産業になっていると指摘している。

そのなかで、2020年については、パンデミックによって世界で約1億7400万人の観光関連の雇用が失われており、今後その回復が大きな課題となるとの認識も示している。

さらに、経済効果について、観光産業は裾野が広く、サプライチェーン全体への効果が大きいため、直接効果1ドルに対して、波及効果はその倍の2ドルになると報告している。雇用についても、直接雇用1人に対して、新しい間接雇用として2人が創出されるとしている。

2019年のデータをまとめたWTTCの「エコノミック・インパクト・リポート2020」によると、世界の観光関連従事者は10人に一人、約3億3000万人にのぼる。世界のGDPのうち約10.3%を占め、新規雇用のうち4人に1人が観光関連となった。

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