ハワイで米国本土からの観光客が急増、5月の米西部からの渡航者数は2019年超え、急回復に困惑の声も

ハワイ州内でのワクチン接種は、2021年7月3日時点で約169万人、2回接種完了した人の割合が58.3%にまで達し、旅行者を受け入れる環境が整いつつある。一方で、米国本土からの渡航者数が急増していることで、現地では困惑も見られる。

ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)が発表した5月の観光統計によると、世界からハワイへの渡航者数は2019年比で25.7%減にまで回復。日本からハワイへの渡航者数は依然として同98.8%減の1312人と低迷しているものの、米西部からの渡航者は同8%増の41万9000人とコロナ以前のレベルを上回り、米東部からの渡航者も同2.9%減にまで回復している。

マウイ島では急激な観光客回復に困惑も

こうしたなか、AP通信は、観光客の急激な増加で困惑するマウイ島の現状をレポートしている。

ハワイは、米国内でも最もコロナ対策が厳しく、現在でも旅行者を無条件に受け入れていない州だ。今も、飲食店でキャパシティ制限を設けている。

その状況で、米国本土からの旅行者が急激に増加。マウイ島は、ほぼ1年にわたって観光事業が閉鎖されていたことから、現在ホスピタリティ人材が不足しており、増加する来島者への対応が難しくなっているようだ。

HTAによると、5月のマウイ島への渡航者数は約21万5000人。前年同月が1054人だったことから、急激に増加。2019年5月の約25万2000人にほぼ近い数字となった。マウイ観光局では、7月第2週の週末にはほぼ2019年レベルに戻ると予想している。

それでも、ハワイ州政府では、州の人口の70%がワクチン接種を完了するまでは、すべての規制を解除する予定はない。

飲食店の入店規制は7月に入って、キャパシティの50%から75%に緩和されたが、従業員が不足しており、テーブルの間隔を2フィート(約2メートル)あける必要があるため、観光客の増加には対応できないという。

マウイ郡のマイケル・ビクトリーノ郡長は、記者会見でカフルイ空港の混雑ぶりとともに、有名なハナハイウェイでは違法駐車も目立つようになったと指摘。さらに、航空会社に対してマウイ島への座席制限を行うように要請したことも明らかにした。

一方、地元観光産業界からは「まだ失業は多いし、企業は苦しんでいる」との声が聞こえる。

マウイ郡議会議員のケリー・キング氏は、1日の平均旅行者数はマウイ島の人口15万人の33%以下に抑えるべきとするマウイ島のコミュニティプランを例に、オーバーツーリズムにならないことが重要だと指摘している。

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