徒歩移動でもマイル貯まる「Miles」が日本で始動、JALが出資、健康や環境に配慮した移動にボーナス、パートナー企業の特典と交換

Miles Japan社は、すべての移動でマイルが貯まるアプリ「Miles」の提供を開始した。Milesは、スマートフォンのデータに基づいてAIが移動手段を自動的に判定し、世界中どこでも1マイル(約1.6キロ)の移動に対して1マイルのポイントを貯めることができるサービス。貯めたマイルは、提携パートナー企業が提供するさまざまな特典と交換することができる。

Milesは米国のスタートアップ企業。2016年に設立され、2019年にサービスがローンチされた。海外進出は日本が初めてになる。米国でのユーザーは現在のところ約140万人だ。

このサービスの特徴は、移動手段によって獲得マイルが変わり、環境にやさしい移動にはより多くのボーナスマイルが付与されるところ。「徒歩」や「ランニング」は10倍、自転車は5倍、「バス」「電車」「スキー」は3倍、「車の相乗り」は2倍、「車」は1倍、「飛行機」は0.1倍に設定されている。

コロナ禍で移動が制限されるなか、公共交通機関の利用が減少し、徒歩や自転車などでの移動が増えたことから、直近の半年でユーザーが獲得した総マイル数は50億マイルに達したという。

同社CEOのシガー・シャー氏は発表会見で「日本のポイント市場は大きく、健康や環境への意識が高い」と話し、海外進出最初の市場として日本を選んだ背景を説明した。また、元ウーバージャパン代表でMiles Japan代表取締役CEOを務める髙橋正巳氏は、コロナ禍での行動変容や健康や環境への意識の高まりは、「Miles」利用の後押しになるとの考えを示したうえで、「移動の先に出会い、発見、消費がある。今後、移動制限も解消され、自由に移動できる環境に変わりつつある。それをサポートしていく」と話し、日本での事業展開に自信を示した。

シャーCEOは米シリコンバレーからオンライン参加移動履歴は自動的にアプリに記録され、各移動の出発地と到着地を地図上に表示することも可能。移動情報は個人情報だが、高橋氏は「日本でのサービス立ち上げにあたって、サーバーなどのバックエンドを米国と分けた。第三者に情報を提供することはない」と強調した。一方で、将来的には、匿名化したデータを人流の変化や傾向の分析として他社と共有する事業にも意欲を示した。

同社のビジネスモデルは成果報酬型。売上連動モデルとして、Milesの特典を通じて得た売上からパートナー企業から手数料を得る。また、CPAモデルとして、送客したユーザー1人あたりの手数料を徴収する。

米国のユーザー層は6割が女性では20~40代前半がメイン。高橋氏は、日本での目標について「できるだけ米国の140万人に近づけたい。ヘビーな健康志向の人というよりも、一駅歩く、少し遠回りするなどカジュアルな健康志向のユーザーの利用を想定する」と明かした。

83社から108の特典、JALが出資、渋谷区と提携

マイルの特典については、現在83社と提携し、計108種類の特典を提供している。そのうち、JALはパートナー企業として参加するだけでなく、JALイノベーションファンドからMiles Japanに出資。すでにハワイでMilesを活用したサービスを提供している。同社常務執行役員デジタルイノベーション本部長の西畑智博氏は「タビマエ、タビナカ、タビアトでの移動でよりよいサービスを提供していく。移動だけでなく、移動先での消費拡大で地域貢献にもつなげていきたい」と話し、Milessとのパートナシップに期待を寄せた。

JALは、特典として、ジャルパックの国内ダイナミックパッケージで割引のほか、JAL ABCでは海外用Wi-Fiルーターレンタルの割引、空港宅配サービスの割引などを提供する。

このほか、JR東日本は、STATION WORKの無料クーポン、JRE MALLで利用できるクーポン、NewDaysでの無料引換券を提供。ファミリーマートはコーヒー無料引換クーポンをプレゼントする。

(左から)JAL西畑氏、キティちゃん、Miles高橋氏、ファミリーマートCMO足立光氏。サンリオもパートナー企業として参加

マイルの活用方法については、特典やギフトカードなどへの交換のほか、「抽選」「寄付」「イベント企画」を用意する。「抽選」では、さまざまな商品やサービスを獲得できる抽選にマイルを使って参加。たとえば、「DAZN」は6ヶ月分のギフトコード、「hulu」は5ヶ月分のプリベイドカードを提供する。

「寄付」では、パートナーあるいはMiles Japanが、ユーザーの意思を受けて、社会貢献活動にマイルを寄付。森林保全活動で「あいおいニッセイ同和損保」、環境・生物多様性保全で「ブラザー工業」、動物保護で「アニマル・ドネーション」、子供支援で「セーブ・ザ・チルドレン」などが参加する。

「イベント企画」では、10月には「レッドブル」が、11月には「アンダーアーマー」がランニングやウォーキングなどの移動をテーマとしたイベントを開催。条件を達成した参加者に特典を提供する。

さらに、Miles Japanは、社会課題の解決への取り組みとして、サービスローンチに合わせて、渋谷区と連携協定を結んだ。最初の活動として、渋谷区での清掃活動への参加者にボーナスマイルを付与する。今後も商店街や町内会、自治体との協力を拡大していく計画だ。

メートルやキロではなく、マイルで表示。高橋氏は「航空のマイレージで親しみがあることから、そのままマイルを使った」と説明

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