米ディズニーでも「メタバース戦略」始動、あらゆる境界線をなくし、リアルとデジタル融合で切り拓く新境地【外電】

Disneyland (dbrnjhrj - stock.adobe.com)

ディズニー・エンタープライズの新テクノロジー、「バーチャルワールド・シミュレーター」に対し、このほど米特許当局からの承認が下り、いよいよテーマパークでのメタバース導入が動き出すことになる。

プロジェクション装置やトラッキングシステムなどの技術により、実在する施設内でバーチャル効果を取り入れた演出などが可能になり、テーマパーク内を歩き回る来場客などに楽しんでもらえそうだ。

非公開エリアに設置されたコンピューティング・プラットフォームがプロジェクション装置やトラッキングシステムと通信し、位置を特定したり、表示するバーチャル効果を選び出したりする。

特許内容からは、AR(拡張現実)機能を使い、ユーザーを夢中にさせる没入感たっぷりのバーチャル体験を目指したいという同社の思惑がうかがえる。

AR導入に伴い、想定される課題も認識している。例えばデバイス導入にかかる費用、同じデバイスを複数ユーザーがシェアすることで懸念される健康や衛生面での注意点、ユーザー個人がAR対応デバイスを所持する必要がある場合、来場者によって体験内容に差が出てしまいかねないこと。

結論として、大勢が楽しめる没入感たっぷりの体験であると同時に、各ユーザーそれぞれが好きなように楽しめることを必要としている。

ディズニーでは2021年第4四半期および通年の業績発表の際、自社プラットフォームの強大な影響力と「実現できる最高の体験を消費者に提供する新テクノロジー」を活用する方針を掲げていた。

同社のボブ・チャペク最高経営責任者(CEO)は「当社ならではの大きな強みは、実在するテーマパークやリゾートの圧倒的な存在感に加えて、デジタル世界においてもメディアやエンターテイメントという資産があること」と指摘。「膨大な数の消費者とのタッチポイントを通じて得たインサイトと、最新テクノロジーを活用することで、リアル世界でもデジタル世界でも、人々がディズニーの物語やプロダクトを堪能できるようになる。素晴らしい新展開になるだろう」と話した。

技術開発については「今はまだプロローグに過ぎないが、いずれ物理的にもデジタル経由でも、もっと緊密につながることが可能になる。ディズニーが展開するメタバース空間では、あらゆる境界線が消滅し、ストーリーを縦横に楽しめるようになる」(同CEO)。

メタバース構想について、詳細を明らかにしているところはまだ少ないが、トラベル系ブランドで動き出しているところの一つがマリオット・インターナショナル。2021年12月には「デジタル・グッズ参入」の一環として、旅行をモチーフにしたデジタル・アート作品(NFT=非代替性トークン。ブロックチェーン上で発行されるデータの一種)の制作に着手。2022年は、メタバース空間における存在感を高めていく方針を明らかにしている。

一方、ドバイの金融街にあるセントラル・パーク・タワーズでは、リアルとデジタル空間が融合したラウンジ、その名も「メタ・テラス」が開業した。同プロジェクトをサポートしたのは、暗号資産を専門に扱うコロサルビット(ColossalBit)社。仮想現実の部屋を用意し、実在する空間とバーチャル空間の一体化であるとしている。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:DISNEY LOOKS TO THE METAVERSE FOR MORE IMMERSIVE EXPERIENCES

著者:リンダ・フォックス氏

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