ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界の航空が混乱している。欧州とカナダは2022年2月27日、ロシアの航空会社の飛行を認めないと発表した。AP通信によると欧州委員会のウァズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「ロシアが所有、ロシアが登録、ロシアが管理する航空機に対して、EU空域を閉鎖する。ロシア財閥のプライベートジェットも例外ではない」と述べた。
また、カナダのオマール・アルガブラ運輸大臣は、隣国への許されない攻撃の責任を負わせるため、ロシアの飛行機のカナダ空域への侵入を認めない」とコメントした。さらに、オランダやベルギーの閣僚も、強い口調でロシアを非難し、同様の措置をとることを表明している。
現在、欧州連合やカナダ政府は、米国に対しても同じ措置をとるように圧力をかけているという。
この影響で、多くの航空会社がロシア発着のフライトを欠航。日曜日の午後にニューヨークに向けてモスクワを飛び立ったアエロフロート機は、ノルウェーを通過したところで、モスクワに引き返した。同フライトは、カナダ上空を飛行する計画だったためだ。他のアエロフロート機は、欧州の空域閉鎖が発表されたのち、欧州上空を避けるルートで運航を続けた。
ロシアによるウクライナ侵攻で高まる緊張は、新型コロナからの回復途上にある航空会社にとって、大きな影響を及ぼす可能性がある。昨年からジェット燃料が高騰しているが、ロシアの天然ガスと石油に対する制裁によって、その価格はさらに高まると予想されている。
今夏、国際線は大きく回復すると見込まれている。ある航空アナリストは「大西洋路線は高い需要が期待できるが、東欧への需要は、事態解決の糸口が見えない限り、保証はできない」と見ている。
一方、ロシア上空の飛行を避けるルート変更によってコスト増になっている航空会社も出ている。デリー発ニューヨーク行きのアメリカン航空は、ロシア南部の飛行を回避するため、メイン州バンゴーで給油する必要が出た。ユナイテッド航空は、米国とインド間で4つの路線を運航しているが、アメリカン航空と同様の措置をとるかどうか決めていないという。
アンカレッジから通常時にロシア東部を通過する貨物便の多くがルート変更を余儀なくされる見込み。ある航空コンサルタント会社によると、ルート変更を余儀なくされる便は、機体サイズとその燃料の量に応じて、1時間あたり4000ドル(約46万円)から1万2000ドル(約138万円)の追加コストがかかると試算している。
航空貨物輸送フェデックスは2月27日、ロシア便を一時停止すると発表。デルタ航空は、ウクライナ侵攻直後、アエロフロートの提携を一時停止した。
※ドル円換算は1ドル115円でトラベルボイス編集部が算出