オーストラリア政府観光局(TA)が日本人旅行者の誘客に向け、大型広告キャンペーンを開始した。2022年4月8日に全国紙3紙(読売、朝日、日経)に全面広告を出稿したのを皮切りに、4月11日からは1週間、東京と大阪で交通広告や屋外大型モニターにも一斉に掲出。SNSを中心とするデジタル広告や公式サイトの特設ページなども展開する。特に新聞広告は近年、デジタル広告の露出を強めていたなか、約10年ぶりの展開になるという。
これにあわせ、4月11日に記者会見を開催し、日本局長のデレック・ベインズ氏とシニアマーケティングエグゼクティブの江原正恵氏が、新キャンペーンと戦略について説明した。
広告キャンペーンは、オーストラリアが隔離なしで全世界からの渡航者の受け入れを開始していることを周知し、海外旅行の検討時に目的地として選ばれるよう、魅力をアピールするのが目的だ。
オーストラリアでは2021年12月15日から、ワクチン接種完了を条件に日本人渡航者を隔離なしで入国可能とし、2022年2月21日には全世界への入国制限を撤廃。日本が入国制限を緩和したタイミングに、今回のキャンペーンを展開した。新聞広告では3紙合計で全国1470万世帯にリーチするほか、交通広告は品川駅の自由通路など東京の主要18駅と大阪駅・梅田駅に展開し、延べ850万人の接触を想定。屋外大型モニターでは渋谷のスクランブル交差点や新宿東口、梅田駅などで、延べ8000万人への接触を見込んでいる
キャンペーンで訴求するのは、オーストラリアならではユニークな体験。「ワクワク大陸、いよいよ再開。」をスローガンに、10種の広告クリエイティブと短尺の動画で展開する。また、今年度の統括テーマである「食」「サステナビリティ」「先住民文化」の魅力も発信。現地の人々の声などで、日本人の訪豪を歓迎していることも伝えていく。5月以降には第2弾のキャンペーンも実施する予定で、現在、パートナーである州政府観光局などと内容を精査している。
ベインズ氏によるとコロナ以前、オーストラリアを訪れる日本人の数は2014年の約33万人から右肩上がりで増加し、2019年には約50万人に達していた。中国、米国、英国、シンガポールに次ぐ5番目の規模で、「日本はコロナ前から重要市場のひとつ」(ベインズ氏)と強調する。すでに米国と英国、シンガポールで誘客キャンペーンを実施しており、これらの市場からの訪豪旅行が動いている。日本に対しても観光に先駆け、2021年11月22日にワーキングホリデーの受け入れ再開を発表したが、同ビザの発給数は現在までに5万1000超に及んでいるという。
なお、オーストラリア政府観光局では今年5月、シドニーで旅行業界向けの最大の商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)」 を開催。リアルイベントとオンライン参加のハイブリットで実施する。また、旅行業界向けに「レジャー」「教育」「ビジネスイベント」をテーマにしたセミナーを、東京をはじめ全国5都市で計13回実施する。