旅行会社の海外ツアー再開へ、業界団体がハワイに視察団、政府に人数制限など規制撤廃の要請も

日本旅行業協会(JATA)は、旅行会社が企画販売する海外旅行(パッケージツアー)の再開に向け、ハワイに海外視察団を派遣すると発表した。2022年4月3日から5日間の日程で、ハワイ州知事をはじめ行政関係者や観光団体・事業者などの要人と会談や意見交換をし、受入れ態勢の確認やプロモーション活動に関する協議などをおこなう。

JATA会長の髙橋広行氏(JTB会長)は記者会見で、水際対策の緩和やブースター接種の推進など、日本でもコロナを取り巻く環境が変わりつつあることを説明したうえで、「JATAが海外旅行再開に取り組む姿勢を示すことで業界の士気を高め、世の中の海外旅行の機運を醸成する一助としたい。(海外視察の実施を)業界内外に広く発信したい」と意気込みを話した。

あわせて髙橋氏は、諸外国が観光を含む国際往来の再開に舵を切っているのに対し、日本は「立ち遅れている感は否めない」と述べ、日本での入国者数の制限と空港での検査体制の2点を、海外旅行再開への課題として指摘。「入国者の人数制限をしている国は世界中にない。これは旅行業界だけでなく全産業の問題」とも言及し、経団連と連携して、国に各種制限の撤廃を求めていることも話した。遅くとも2022年の夏休み前までには、一部の国・地域との往来再開を実現したい考えだ。

日本市場のプレゼンス回復へ

ハワイ視察団を構成するのは、JATA会員会社の21名。メディア取材も同行する。現地では、JATAが安心安全な海外旅行実施を念頭に作成した海外旅行ガイドライン(手引書)を説明し、その内容でのツアー運営を検証をする。また、コロナ禍で日本人のハワイ訪問者数が減少したことを踏まえ、ハワイ旅行産業における日本のプレゼンス回復も図る。

ハワイへの全訪問者数は、コロナ以前の約1000万人から2021年は約677万人に減少したが、日本人訪問者数はコロナ以前の約150万人から2021年には約2.4万人に大幅な減少となった。コロナ禍のハワイ旅行を支えたのは米国本土からの観光客だ。それに慣れた現地サプライヤーの中には「米本土の市場があればよい」という考え方も生まれているといい、JATAとして再開後のハワイ旅行の仕入に危機感を感じているという。

なお、諸外国では観光再開に向けた動きが活発化している。JATAにはハワイ以外の国・地域からも多くの視察要請が来ているという。JATAではハワイ視察の次は韓国への視察団派遣を予定。東南アジアなどへの視察も意欲を見せた。

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