ニュージーランド政府観光局のレネ・ド・モンチー最高責任者は、同国が2022年5月2日からワクチン接種済みの海外旅行者受け入れを開始するにあたり、日本市場を重視する姿勢を示すとともに、今後の戦略について説明した。
モンチー氏は、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相の訪日に合わせた「経済ミッション」の一員として来日した。日本は、シンガポールとともに国境開放後、最初の訪問国。世界でも厳しい水際対策を実施してきた同国は2年3ヶ月ぶりにビザ免除対象国に国境を開く。
モンチー氏は「観光はニュージーランドのGDPの5%を占める非常に重要な産業。経済だけでなく、文化的にも、社会的にも欠かせないもの」と話し、同国での観光業の重要性を示すとともに、日本市場の復活に大きな期待を寄せた。ニュージーランド航空も、この動きに合わせて、7月4日からは成田/オークランド線を週3便に増便する。
そのうえで、今後のターゲット層としては、ハイクオリティ旅行者の誘客に力を入れていく考えを示した。モンチー氏によると、ハイクオリティ旅行者とは、単に現地消費額に貢献する富裕層だけではなく、サステナビリティなどニュージーランドでの体験に敬意を払ってくれる人のこと。日本人は、同国先住民マオリの言葉で守護神を示す『カイティアキタンガ』と似た文化的背景を持っていることから、「日本人はそもそもハイクオリティ旅行者」と位置付けた。
また、ニュージーランド観光のピークは夏だが、モンチー氏は「日本と同じように四季があり、1年を通じて楽しめる観光コンテンツがある」と強調。季節の分散化を進めていくとともに、定番ルート以外の新しい場所を紹介していくことで、「ニュージーランドではバラエティに富んだ旅行が楽しめることを訴求していく」方針を示した。
同観光局によると、コロナ前の同国への日本人旅行者数は年間約10万人で推移。そのうち約70%が旅行会社経由の手配やツアーの旅行者であることから、「旅行会社との関係をさらに強化していく」(モンチー氏)。今後については、コロナ禍で進めたオンラインプロモーションによるブランディングを継続していくとともに、実質的な誘客や販売につながる施策を進めていく考えだ。
モンチー氏は、「アーダーン首相のミッションの目的は、さまざまな産業での日本との『リコネクト』。日本人旅行者が求めてる体験とニュージーランドが提供できるコンテンツをマッチさせていく」と国境開放に向けて意気込みを示した。
ニュージーランド旅行に必要なこと
2回のワクチン接種を完了した日本人旅行者は入国後の隔離は免除されるが、ニュージーランドに渡航するためにはさまざまな準備が必要だ。
日本出発に向けては、自治体が発行するワクチン接種証明書、出発時間48時間以内のPCR検査での陰性証明、RAT(迅速抗原検査)またはLAMP(簡易PCR検査)の場合は24時間前検査での陰性証明が必要となる。
また、「New Zealand Travelers Declaration (NZTD)」オンライン申告で、ワクチン接種証明書、陰性証明などをアップロードし、渡航者情報を登録する。認証されればQRコードが送信され、チェックインや入国時の確認に使用する。
従来からの電子渡航証「NZeTA」も引き続き必須。モバイル申請では9NZD(約770円)、PC申請で12NZD(約1030円)。さらに、国際観光税として35NZD(約3010円)を支払う必要がある。
ニュージーランド到着後は、空港での到着時検査とともに、5日目または6日目にRAT(迅速抗原検査)が求められる。そのための検査キットは到着時に無料で配布される。
日本に帰国時には出発72時間前のPCR検査が必要だが、現地での検査料金は、医療機関によって変わる。価格は、170~200NZD(約1万4600円〜約1万7200円)ほどだという。
「すべて現時点での話で、今後状況によって緩和される可能性はある」(同観光局の猪膝直樹日本局長)ため、渡航時には確認が必要だ。
※ニュージーランドドル(NZD)円換算は1NZD86円でトラベルボイス編集部が算出