日本政府観光局(JNTO)は、重点22市場で海外旅行経験者を対象に、海外旅行に関する意向や旅行形態に関するアンケート調査を実施し、市場規模や日本のポジション、地方誘客の可能性などに関する分析を行った。
調査では、アジア各市場での海外旅行実施者と欧米豪・インド・中東市場からの中長距離の海外旅行実施者の規模を推計、訪日旅行の潜在的な市場規模は、22市場の人口45億6475万人のうち約3億3000万人と算出した。
地域別の海外旅行実施者数と訪日旅行経験数では、最大市場の中国では、海外旅行実施者の半数以上は訪日旅行経験がない一方、韓国、台湾、香港では、海外旅行実施者の大半が訪日旅行経験者。特に台湾と香港では、海外旅行実施者の約4割は、生涯の訪日旅行の回数が4回以上のヘビーリピーターであることも分かった。
東南アジアでは、シンガポール以外の市場で訪日旅行経験がない海外旅行実施者が約7〜8割と大部分を占めた。また、米国の中長距離海外旅行実施者の6割以上、豪州では4割以上が訪日旅行を経験していたが、米豪以外の市場では、中長距離海外旅行実施者の半数以上に訪日旅行経験がない。
また、旅行先としての日本について、「無認知」「認知」「興味関心」「比較検討」の4段階で調査したところ、東アジアと東南アジアでは、多くの市場において、日本の観光地やアクティビティについての知識を持っている層は、単に知っているだけでなく、興味を感じているた。一方、欧米豪・インド・中東市場では、全般的に「無認知」の割合が高く、特に英国、ドイツ、中東地域は、「無認知」が半数以上となった。
訪問意向エリアについての調査では、東アジア、東南アジア市場では、地方を訪問したいと回答した割合は7割超と高い一方で、認知率が低いカナダ、英国、ドイツなどでは相対的に地方エリア訪問の希望が低く、認知率が高い米国と豪州でも地方エリアの訪問希望は依然相対的に低いことが分かった。
調査結果を説明したJNTOの蔵持京治理事は「旅行先としての日本の認知率が低い市場では日本という国の魅力を売り込んでいく。一方で、認知率が高い市場には日本の地方を売り込んでいく」と話し、市場特性に合わせたプロモーションを展開していく考えを示した。
このほか、海外旅行(訪日に限らない)の目的についても調査。最も回答が多かったのは「ガストロノミー・美食」で、それを目的とした市場規模は約1億4800万人と推計。以下、「テーマパーク」「アート鑑賞」「庭園・花鑑賞」「建築」がそれぞれ1億人を超えた。
地域別で見ると、アジアでは「テーマパーク」や「ラグジュアリーなショッピング」などが高く、欧米豪・インド・中東では、「建築」や「ラグジュアリーホテル」などが高い結果となった。