ANA、デジタル化加速で「自動チェックイン機」を全廃へ、スマホアプリ機能強化で顧客体験の向上目指す

全日空(ANA)は、空の旅をスマートフォンでサポートする新サービスモデル「ANA Smart Travel」を発表した。タビマエの旅行計画から航空券予約、タビナカの空港や機内での時間、空港到着後の目的地までのすべての各ポイントで、ANAのアプリで旅客ごとにパーソナライズした情報やサービスを提供する。

すでにANAアプリでは、航空券予約・購入や搭乗案内、空港アクセスナビなどのデジタルサービスを提供しているが、こうした既存サービスの機能向上や新規サービスの導入などで、デジタルサポートを強化する。

戦略発表の記者会見でANA代表取締役社長の井上慎一氏は、コロナ禍の2年、社内で旅客がANAに求めるサービスと価値を議論してきたことを説明。その結果、「最も求められるのは、ストレスなくスムーズに搭乗できること」とし、そこにデジタル化の軸足を置くことに決めた。

自宅から空港、さらに搭乗口まで空港内をスムーズに移動するためには各旅客の情報に基づいた案内やサービスが必要だが、「ANAアプリを利用してもらえれば、お客様が必要な時に必要な情報やサービスを受け取れる。それはお客様が望んでいること」と、旅客の利便性も強調した。

始動したサービスの一例は、国内線オンラインチェックインの機能向上。従来からオンラインチェックインは提供していたが、予約情報を事前に連携した場合、ANAアプリを開いてからワンタップでチェックイン画面や搭乗券表示ができるようにした。2022年6月には座席選択変更をワンタップで表示できるようにするほか、2022年度中にもさらなる改善を予定する。機能やUI/UXの向上、サービス自体の案内を強化し、オンラインチェックインの利用者の割合を現行の約5割から2026年度末には約9割に高める方針だ。

自動チェックイン機を全面撤去

一方で、国内空港に設置している国内線の自動チェックイン機は、2023年度中に全面撤去する。ただし、有人カウンターは従来通りサービスを提供する。係員によるリアルの接客のほか、アバターを通したリモートでのサービスも提供する予定だ。

井上氏は、「厳しい環境を生き抜くためには差別化が必要。デジタルでは結局は追いつかれるが、人的サービスは真似ができるものではない。そのレベルまで引き上げることでファンを増やし、収益を上げる」と、デジタル対応を加速する本質を説明した。 

2022年6月には空港空席待ち、2022年度には国際線の機内食不要の事前申請も、スマホで対応可能とする予定。2023年度には、遅延や欠航による補償の手続きも、スマホ対応を可能にする予定だ。井上氏は「遅延や欠航時は一番お客様に迷惑をかける事態だが、電話が繋がらないケースもある。それをデジタルで、お客様に極力負担のない形で対応できることを目指す」と説明した。

ANA Smart Travelのイメージ:発表資料より

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