スイス政府観光局が、このほど都内でプレス発表会を開催した。スイスでは新型コロナウイルスに関する国内での行動規制、海外からの入国規制が解除されている。また、6月からの日本の水際対策の緩和で、入国時の検査や隔離が必要ない国・地域の区分に分類された。日本/スイス間の往来が活発化することが期待されている。
発表会の冒頭では、コロナ禍の2020年秋に着任した日本支局長のサラ・ロロフ氏が、日本に赴任して初めてのリアルイベントを開催できた喜びと旅行再開への期待を表明。またコロナ禍の2年間を経て、今後の観光再開時には「サステナビリティ」に力を入れる方針を発表した。
具体的には、観光局としての共通認証のラベルを用意。ホテル、レストラン、サービス提供会社に対して、3段階の認証レベルを付与する。また、「Swisstainable(サステナブルなスイス)」を掲げ、スイスが誇る「環境にやさしい公共交通」「良質な水」「良質な空気」「オーガニックフード」「自然保護への取り組み」「リサイクル活動」の6分野を今後、観光に取り入れていく。
「環境にやさしい公共交通」プロジェクトのひとつとしては、国内の小さな村々を公共交通期間でめぐるルートを開発する。スイスには美しく文化的価値の高い村々が約1200あり、そのほとんどは公共交通機関でアクセスが可能。その中から50か所の村をピックアップし、周遊ルートとして紹介する。スイス国内の鉄道の約80%が水力発電での電力が使用されおり、環境に負荷の少ない公共交通機関での旅を推進していく方針だ。
現地で進む観光開発
スイス政府観光局メディアマネージャー 押尾雅代氏は、スイス国内の最新の観光情報として、スイス鉄道175周年にちなんだ各種イベントを紹介した。
2022年10月には、アルプスの雄大な景観の中を走るスイス最大級の私鉄・レーティッシュ鉄道が、世界最長の旅客列車でギネス世界記録に挑戦する。最新車両を25両連結し、世界文化遺産にも登録されているアルブラ線・ベルニナ線のルートを、全長1910メートルにおよぶ車体で走行する計画だ。
また2023年春には、スイスのツェルマットとイタリアのチェルヴィニアを結ぶ新ケーブル路線が開通し、最も標高の高いアルプス国境越え体験が可能となる。
そのほか注目のスポットとして、ローザンヌで開発中の新たなアート地区や、バーゼルに本拠地を置く製薬大手ノバルティスが開設したパビリオンなどを紹介。2022年6月には、ローザンヌ駅横に3つの美術館・博物館を集めたアート地区「プラットフォーム10」が誕生。また2022年4月にオープンしたノバルティス・パビリオンでは、化学とアートが融合した展示館や、有機太陽電池により電力ゼロで建物がカラフルに輝くライトショーを楽しむことができる。
スイス政府観光局では、このほど日本語公式SNSアカウントを開設しており、こうした新たな取り組みの発信にも力を入れていく方針だ。