沖縄県、2年4か月ぶりにクルーズ客船の寄港を再開、「地元の意向を反映させた質の高いクルーズ」振興へ

沖縄県は2022年6月29日、新型コロナウイルスの影響で休止としていたクルーズ寄港の受け入れを再開した。沖縄県がクルーズ船の寄港を受け入れるのは、2年4カ月ぶりのこと。 同日、宮古島の平良港に、日本クルーズ客船が運航する「ぱしふぃっくびいなす」(約2.7万トン)が寄港した。

6月26日に神戸を出発した「南西諸島 島めぐりクルーズ~宮古島・沖縄・奄美・屋久島~」(8日間)での寄港で、乗客数は約190名。同社では感染対策として、乗船前のPCR検査で陰性であることなどの乗船条件を設けており、それらを満たした乗客を乗せたクルーズの寄港となる。

ウィズコロナでのクルーズ再開にあたっては、客船会社や受入地域、関係事業者は国が認めたガイドライン(「外航クルーズ船事業者の新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」と「クルーズ船が寄港する旅客ターミナル等における感染拡大予防ガイドライン」)に準拠した対応を実施。これに加えて各地域や事業者は、それぞれの特性にあわせた安全対策も実施している。

コロナ前との違いは?地元の合意が前提に

沖縄県では、港湾や医療、搬送、観光の関係機関からなる「沖縄県クルーズ船受入協議会」を発足。また、国内クルーズ受入に対する県の考え方として、医療関係者の意見に基づく「当面の受入対応(案)」も取りまとめ、新体制でクルーズ客船の受入をおこなった。沖縄県観光振興課主査の平賀氏によると、今後は「国のルールに沿い、地元(協議会)の合意を得ること」と「地域の医療体制に準じた対応」が、大きな変更点だという。

「地元(協議会)の合意を得ること」は、国土交通省の「クルーズの安心・安全の確保に係る検討・中間とりまとめ」(2020年9月)の方針に則したもの。沖縄県では全体協議会の下に「北部」「中部」「那覇・南部」「宮古」「八重山」の5区域の協議会を設け、寄港地の協議会の合意を得た上で、クルーズ寄港の受入を決定する。

沖縄県新型コロナウイルス感染症対策本部会議(2022年5月25日)資料より

また、「地域の医療体制に準じた対応」は、県の「当面の受入対応(案)」で示した。特に医療体制が脆弱な島嶼地域の「宮古」「八重山」では、寄港前に船内で乗客への抗原検査を実施し、全員の陰性を確認した場合に寄港を可能とした。今回の「ぱしふぃっくびいなす」の平良港寄港も「宮古」地区の協議会の同意を得て決定し、寄港前には全乗客約190名の抗原検査も実施。陰性を確認して、寄港地観光がおこなわれたという。

安心安全のクルーズ受入体制を構築する一方で、沖縄県では、クルーズ船の感染対策を地域に知ってもらうことも重要だと考えている。今回は平良港と翌日の寄港地である本島の本部港の両港で、医療従事者や協議会関係者向けの船内感染対策の見学会を設けた。

日本のクルーズ客船は国のガイドライン以上の感染対策をしており、「ぱしふぃっくびいなす」を運航する日本クルーズ客船の場合は、同社が運営する寄港地観光ツアーでも、「観光地はほぼバブル(クルーズ乗客のみでの行動)。バス座席もスペースを意識し、レストランも船内基準に沿って選んでいる」(同社企画部)。平賀氏は「医療関係者や地域の首長に直接見て理解していただくことで、地域の安心感の醸成につながれば」と期待する。

休止を機にクルーズ振興を転換へ

沖縄県は先ごろ、「令和4年度における沖縄観光の回復・復興に向けた考え方」を発表し、沖縄観光の回復に向けた目標値と施策方針を示した。沖縄県では10年ごとに観光振興策を出しており、今年はその1年目。この節目の年に、観光戦略を経済効果や人泊数など、質を求める方向にシフトしており、クルーズ振興も「地元の意向を反映させた質の高いクルーズ観光の推進」が示された。平賀氏は「受け入れる住民が満足しなければ、持続可能なクルーズ観光は厳しい」と、その意図を話す。

この実現に向け、滞在時間の短いクルーズでどのように取り組んでいけるのか。平賀氏は今後の誘致の方向性として(1)前後泊が見込める沖縄発着のフライ&クルーズ、(2)ブティックタイプの客船による離島周遊のエクスペディションクルーズ、(3)寄港地での体験・コト消費を重視する欧米系のラグジュアリー、プレミアムクラスのクルーズ、などの寄港を推進する可能性を示した。

沖縄県はコロナ以前から、クルーズ寄港地としも人気が高く、2019年には那覇港は寄港回数で日本1位となった。その反面、寄港時のオーバーツーリズムも一部で表面化し、タクシー不足や買い占めによる日用品不足などで、住環境の悪化も懸念されていた。コロナ禍によって沖縄のクルーズ観光がいったん休止となったが、この空白期間が誘致や受入準備を転換する契機になることも期待しているという。

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