岸田総理大臣は訪問先のニューヨークでの記者会見で、水際制限を緩和する2022年10月11日から、「全国旅行支援」と「イベント割」を実施することを表明した。「コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援したい」と話した。
新型コロナウィルスの水際対策に関しては、1日当たりの入国者数の上限撤廃と個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁を実施すると表明。観光産業の本格回復に期待がかかる。
全国旅行支援は(全国を対象とした観光需要喚起策)は、いわゆる県民割(地域観光事業支援)とは別事業。当初、7月のスタートが計画されていたが、感染拡大とともに延期されていた。
全国一律の国の観光支援として実施するもので、旅行者1人1泊あたりの割引率は40%。割引上限は、鉄道、バス、航空などの交通付き旅行商品は1泊あたり8000円、その他は5000円とする。土産物店、飲食店などで使えるクーポン券については、旅行需要分散の観点から平日3000円、休日1000円で設定。平日に交通機関付き旅行商品を利用すれば、1人1泊あたり最大1万1000円の補助が受けられることになる。
国内旅行はすで県民割などを受け、個人旅行を中心に一部ではコロナ前の水準まで戻ったという事業者もあるが、シニア層向けのパッケージツアーなど、回復が遅れているマーケットがある。また、長期的な視野では、こうした支援が需要を底支えすると考えられ、政府による国内・訪日の全面的な”旅行解禁”で、旅行市場全体の回復の契機になることが期待される。