エイチ・アイ・エス(HIS)は、ハワイ州観光局日本支局(HTJ)とレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)「マラマハワイ(Mālama Hawai’i)」の推進に向けたパートナーシップ協力覚書(MOU)を締結した。これに合わせて、HISは再生型観光(リジェネラティブ・ツーリズム)が体験できる「ハワイ州観光局公認マラマハワイツアー」の販売を開始。ハワイのブランドを維持しながら自然保護、文化継承、豊かな地域社会に焦点を当てた商品の造成販売することで、ハワイの持続可能な社会形成に貢献していく。
「ツーリズムEXPOジャパン2022」の会場で行われてた覚書締結発表の会見で、HISの矢田素史社長は、「『自然の摂理を大切にし、人類の発展と世界平和に貢献する』というHISの理念は、『マラマ』の精神そのもの」と話したうえで、「ハワイの未来に貢献し、将来のツーリズムの先駆けとなるように全社をあげて取り組んでいく」と意気込みを示した。
また、ハワイ州観光局(HTA)のジョン・デ・フリーズ局長兼CEOは、マラマについて「自然を守り、慈しむこと」と説明。そのうえで、「誰でも特別な場所はある。その場所とのつながりを思うことこそが『マラマ』の精神」と続け、ハワイの自然の保護と地域社会の持続可能な成長に向けた今回のHISの取り組みに感謝を示した。
HTJのミツエ・ヴァーレイ日本支局長は、「これから旅は大きく変わっていく。地元のコミュニティと連動して、もっと深い体験ができる商品開発をHISとともに進めていきながら、『マラマハワイ』の啓蒙も行っていく」とコメント。さらに、10月11日からの水際対策の撤廃にも触れ、「同じ価値観を持つ日本とハワイの双方向の交流はとても大切なこと。次世代への文化交流、新しい旅づくりで地球にやさしい旅を世界に伝えていきたい」と話した。
全直営店舗にハワイスペシャリスト、トロリーには新ルート
HISでは、今回の覚書締結で以下の10項目の取り組みを進めていく。
- 未来に繋がる持続可能なハワイ旅行を推進するため、社員向け教育プログラムの導入と運用
- 持続可能なハワイ旅行を推進するために全直営店舗でハワイ州観光局認定サテライトオフィスを目指す
- 日本からの旅行者とハワイの生産者を繋ぎ、メイドインハワイの商品紹介と販売
- 日本でハワイイベントを主催または共催し、日本とハワイを繋ぐ「マラマハワイ」のムーブメントを醸成
- 店舗、WEB、SNS、パンフレット等による日本とハワイ双方の「マラマハワイ」の全方位情報発信
- 再生型観光の旅行商品を提供することで、個人手配を含む全旅行者における満足度を向上
- 再生型観光の体験ができる「ハワイ州観光局公認マラマハワイツアー」の企画と販売
- 旅行業の枠を超え、安心、安全のサービスの提供と追及
- ハワイの自然保護、文化継承などの取り組みへの協力と企画販売
- 旅行者と地域社会を繋ぐことで、双方の満足度を高め、地域社会に還元
このうち、社員向け教育プログラムについて、HIS執行役員海外旅行営業本部長の飯田憲史氏が「自社でハワイのスペシャリストを養成し、全店舗に配置することで、マラマハワイを消費者に伝えていく」と説明。11月~12月にかけて現地に研修に赴き、トレーナーを認定し、そのトレーナーが社内教育を進めていく。将来的には全直営店舗をハワイ州観光局認定サテライトオフィスとして、ハワイ旅行販売で「トップ・オブ・トップを目指す」とした。
また、地元NPOを連携で、自然保護、文化継承、ブランド管理などで地域社会への貢献も強化していく考えも示した。
新たにハワイ州観光局公認マラマハワイツアー専用パンフレットも作成。地域社会と共に作り上げた再生型観光を体験を組み込んだツアーを販売することで、新しいハワイ旅行を具現化していく。また、LeaLeaトロリーでは、イオラニ宮殿など文化歴史スポットを巡回する新ルート「マラマライン」を新たに設定。NPO団体が展開するソーシャルグッド活動に参加できる「LeaLeaマラマシャトル」の運行も開始する。さらに、「LeaLeaエコウォーキング」など旅行者自身が地域に貢献できるプログラムも提供していく。
飯田氏は「こうした取り組みが、今後のツーリズムのロールモデルとなるように経営資源を投下していく。観光がハワイの未来につながる活動を全力で進めていく」と強調した。