ドイツ観光局は2023年以降に向け、サステナブルツーリズムと富裕層旅行者の取り込みをテーマに日本市場の復活を進める方針だ。
ドイツではコロナ前の大量送客による観光が見直されるとともに、環境保護や地域住民との共生などの持続可能な観光が求められるなか、どう収益を上げていくかがテーマとなっている。ドイツ観光局アジア地区統括局長兼日本支局長の西山晃氏は、客単価の上昇と長期滞在を挙げたうえで、「富裕層に支持されるデスティネーションになっていく必要がある」と強調した。
現状、世界の旅行市場は不確定リスクが多く、特に日本発のアウトバウンド市場では、インフレ、円安、燃油サーチャージ、ロシア上空の飛行制限による飛行時間の延長など逆風が吹いている。ターゲット設定には「こうしたリスクに影響を受けない富裕層を取り込んでいく必要がある」(西山氏)ことも背景にあるようだ。
ドイツへの日本人渡航者は、ビジネス渡航が多いため、高学歴高収入の層が多く、男女比率も男性が64%(2019年)と半数以上を占めているが、西山氏は「今後はトレンドを作る女性旅行者の誘客にも力を入れていく」考えを示す。
そのなかで、日本市場での訴求テーマを「都市文化」「食」「城・宮殿」「観光街道」に設定。グローバルキャンペーンのうち、サステナブルツーリズムに焦点を当てた「Feel Good」と豊かな自然をアピールする「Embrace German Nature」を継続。加えて、世界遺産を中心とした歴史文化を取り上げていく。
西山氏によると、2022年の外国人宿泊数は、7月まででコロナ前の2019年比で68%まで回復。日本市場については6~7月で30%まで戻っており、最終的には25%程度になると予想している。2023年については、「不確定リスクが多く、予断は許さないが」(西山氏)、2019年比で半分までまで回復するとの見込みを示した。