ITBベルリンと世界的な調査会社Statistaは、ドイツにおける環境意識が旅行に与える影響についての調査結果を明らかにした。それによると、ドイツ人旅行者の環境に対する意識は高く、特に移動手段における環境問題を重視してていることがわかった。
ドイツ環境庁が2020年に実施した環境意識調査では、ドイツ人の77%以上が気候変動の主な原因は人間の活動がであると回答。Statistaが 55か国以上で調査を実施したGlobal Consumer Survey(GCS)でも、気候変動はドイツ人の65%の旅行行動に影響を与えていることがわかった。
国連環境計画(UNEP)によると、世界の観光業における二酸化炭素排出量の4分の3は輸送に起因するもので、その大部分が航空輸送(40%)と自動車(32%)で占められている。2019年のドイツにおけるデータでは、平均乗客数の国内線は1旅客キロあたり214グラムの温室効果ガスを排出し、長距離列車の1旅客キロあたり29グラムよりもかなり多かった。
Statistaの調査によると、ドイツ人旅行者はそれぞれの輸送機関の環境への影響を認識しており、気候変動のために旅行行動を変えるかどうかの問いに対して、最も多かった答が「(長距離)飛行を避ける」だった。
一方で、Statistaは気候変動は人々の旅行意欲にほとんど影響を与えず、海外旅行は依然として高い需要があるとしている。2022年に旅行しないと答えたドイツ人のうち、環境保護を理由として挙げたのはわずか6%だった。
それでも、環境意識の高まりは、旅先への行き方に影響を与える可能性があるとしている。
また、サステナブルツーリズムにおいて重要なこととして、48%のドイツ人が「休暇の過ごし方で無駄を省くことが重要」と回答。40%が「エネルギーや水など資源の節約」、39%が「地元への公平な経済分配」を挙げた。
調査結果を受けて、ITBベルリンSCRコミッショナーのリカ・ジャン・フランソワ氏は「今日、価格を上げずに商品に持続可能性を求めようとする事業者が増えているため、旅行者は『低コスト旅行』と『倫理的に正しい旅行』の区別ができない。価格を上げることは将来の投資だ」と述べている。