JTBは、旅行動向アンケート、経済指標、業界動向や予約状況などから「年末年始(2022年12月23日~2023年1月3日)に1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向見通しをまとめた。旅行動向アンケートは2022年11月11日~17日に実施。
事前調査で1万人に年末年始に旅行に行くかどうか聞いたところ、「行く」(8.2%)および「たぶん行く」(8.1%)と回答した人の合計は16.3%となり、昨年より0.6ポイント減少。2019年の調査では「行く+たぶん行く」が20.0%だったことから、旅行意向はコロナ禍前の水準には至っていない。
また、年末年始の旅行について、「昨年より旅行にお金をかけず質素に過ごす予定」(14.9%)は昨年より1.1ポイント増加。また「昨年同時期に比べてお出かけや外出する頻度を減らす」が11.0%となり、「増やす」を上回った。
この調査結果も踏まえて、JTBは年末年始期間の国内旅行者数は、前年比116.7%の2100万人(2019年比71.8%)と推計。国内旅行平均費用については、2泊3日から4泊5日までの割合の上昇、ホテル宿泊の増加、物価上昇などを考慮して、同112.1%の3万7000円(2019年比115.6%)の総額7770億円と推計した。
一人当たりの旅行費用は、「1万円~2万円未満」(23.0%)が最も多く、次いで「2万円~3万円未満」(18.7%)、「1万円未満」(16.4%)となった。2万円未満は7.8ポイント減少した一方で、2万円以上は「40万円以上」(0.2%)を除くすべての項目で増加し、特に「4万円~5万円未満」と「7万円~10万円未満」で高い増加率となった。
旅行日数を見ると、最も多かったのは「1泊2日」(35.6%)。ついで、「2泊3日」(28.6%)、「3泊4日」(15.5%)、「4泊5日」(7.8%)。5泊以上は7泊を除き昨年より割合が減少した。
利用宿泊施設はホテルが最多、都市部への旅行意欲を反映
同行者については、「家族連れ」が60%と半数以上を占め、家族の内訳では、「(中学生までの)子供づれ」(24.3%)と「夫婦のみ」(18.3%)」が前年と比較して減少した一方で、「それ以外(母娘、三世代など)」(17.4%)は増加した。
旅行先で最も割合が高かったのは「関東」(22.6%)、次が「近畿」(17.4%)。コロナ禍で減少傾向にあった「北海道」(6.7%)および「沖縄」(3.1%)は昨年より増加した。
また、旅行先として気になる場所について尋ねたところ、「季節ならではの買い物が楽しめる場所」(14.3%)が最も高く、次いで「自然が楽しめる場所(国立公園や花畑など景観を楽しむ)」(12.8%)、「東京ディズニーリゾート」(10.1%)となった。
利用交通機関では、「乗用車」(59.7%)が最も多く、昨年から5.0ポイント増加。ガソリンの価格が高騰しているにも関わらず、依然高い意向となった。そのほか、「従来の航空会社」(13.3%)、「フェリー・船舶」(1.9%)も昨年より増加した。
利用宿泊施設では、「ホテル」が43.1%と最も多く、次いで「実家・親族の家」(34.5%)。2021年度調査では「ホテル」は1.3ポイント減少し34.6%だったが、今回の調査では8.5ポイント増加。JTBでは、都市部への意向が高まっている様子がうかがえるとしている。
第8波でも「予定通り出かける」が65%に
第8波が懸念される年末年始旅行で「特別に考慮すること」について尋ねたところ、最も高かったのが「公共交通機関を使わずに、自家用車やレンタカーを使う」(24.6%)、「家族・親族や親しい友人以外には会わない」(24.3%)、「少人数の旅行にとどめる」(20.4%)の順となったが、昨年よりその割合は減少した。一方、新たに追加した「外国人観光客の増加などにより、混雑が予想される観光地は避ける」は9.6%。また「コロナ禍の旅行で特別に考慮することはない」(22.0%)は昨年より5.0ポイント増加した。
また、「新型コロナの感染状況が第7波(2022年夏ごろ)と同規模に拡大した場合の対応」について尋ねたところ、「予定通り出かける」が64.7%と最も多く、「その旅行は延期または中止する」(13.8%)が続いた。JTBでは、コロナ禍も3年目となり、十分な感染防止策を実施しながら旅行する人の割合が増加していると分析している。
「今年度は海外旅行しない」は半数近くに
一方、海外旅行人数は、同750%の15万人(2019年比18.1%)、一人当たりの海外旅行費用は26万円と推計した。費用は2000年以降の同社調査では過去最高。世界的な物価急上昇や円安が滞在費に影響を与え、航空運賃の値上がりに加え、燃油サーチャージの高騰も費用を押し上げていると分析している。
海外旅行の実施時期については、「国際情勢や感染症がまだ不安なので、今年度は旅行しない」(22.3%)、次いで「円安や物価が上がっているので、今年度は旅行しない」(21.8%)となり、消極的な意見が上位を占めた。