フィリピン政府観光省、日本からの観光客誘致を本格化、MICE、ウェルネスツーリズムを訴求

フィリピンが日本からの観光客誘致を本格化する。政府観光省が先ごろフィリピン観光セミナー「フィリピン・ビジネス・ミッション2022」を都内で開いた。リアルでの開催は3年半ぶりとなり、フィリピンから官民合同の観光産業関係者40数社が日本の旅行業関係者と2023年の商品化やプロモーションに向けて商談を交わした。観光推進庁長官も来日した。

国境再開後、外国人旅行者は200万人

2022年2月から国境を再開しているフィリピン。このほど来日したフィリピン観光推進庁長官のマリア・マルガリータ・モンテマヨール・ノグラレス氏は、11月末までに世界各国から200万人の外国人旅行者が訪れたことを明らかにしたうえで、「日本とも今回のイベントを新たなパートナーシップの始まりとし、レジャー、MICE、投資などさまざまな取り組みを訴求していきたい」と意気込んだ。

また、フィリピンから日本への訪問需要が非常に高まっていることにも触れ、「日本は観光交流において重要なパートナーのひとつ。双方の外国人訪問者数が大幅に増加することを期待している」とも述べた。

フィリピン観光推進庁長官のノグラレス氏

フィリピンへは現在、日本人はビザなしで、観光、商用、短期留学目的での30日以内の滞在が可能だ。旅券の残存有効期間は入国時6カ月以上、30日以内にフィリピンから出国する航空券、ワクチン接種証明書、eARRIVAL CARDの登録などが必要になる。

大型の統合型リゾートが続々開業

日本からマニラやセブへは、直行便で約4時間。豪華なホテル、ダイビング、国際色豊かな食、短期英語留学などでこれまで人気を集めてきたフィリピン。withコロナ、アフターコロナで観光誘致を再始動するにあたり、フィリピン政府観光省東京支局アシスタントディレクターの横山泰彦氏は、「これからは大型MICE、ウェルネス、ロングステイにも力を入れていきたい」との考えを示した。

MICEについては、カジノを含む統合型リゾート(IR)が続々オープン。たとえば、リゾート地として知られるセブ島には、2022年5月に1000室以上あるホテル、国際会議場などを有する「NUSTAR Casino & Resorts Cebu」がソフトオープンしたのに続き、2023年にも「Emerald Casino & Resorts」が開業を予定している。

また、フィリピンは特別居住退職者ビザをすべての外国人向けに提供しており、現在、日本人は4025名が取得しているという。今後もロングステイのプロモーションに注力する方針だ。医療観光のほか、人気が高かった短期英語留学の本格再開、ウェルネスツーリズムとしてフィリピンの伝統的マッサージ療法「ヒロット マッサージ」などのPRも強化する。

フィリピン政府観光省東京支局の横山泰彦氏

日本人客の復活がカギ握るセブ線

その復活を大きく左右するのが航空ネットワークだ。ビジネス客が中心のマニラ線は各社ともに堅調に復便しており、最大ネットワークのフィリピン航空、日本航空、全日空、LCCのセブ・パシフィック航空に続き、2022年12月15日からジェットスター・ジャパンが成田/マニラ線をデイリーで運航再開する。2023年2月からはエアアジア・フィリピンも成田/マニラ線を開設する。

一方、セブ線については、2022年12月時点でフィリピン航空が成田/セブ線を週3便、関西/セブ線を年末に運航するのみ。フィリピン航空の担当者は「現在、マニラ、セブを合わせて日本から週41便運航しており、コロナ前の週85便と比べると、半分程度の運航率。特にセブ線のデイリー化、名古屋などからの再開については、日本のアウトバウンド需要の復活が鍵となる」との見解。セブ・パシフィック航空の担当者も「コロナ前に運航していた成田/セブ線の再開時期は現時点では決まっていないが、早期を目指して調整していきたい」などと話した。

なお、2022年12月3、4日には、フィリピン観光省も参加する東京・代々木公園で一般消費者向けの「フィリピンフェスティバル2022」が開催された。本場の名物料理、音楽や踊りなどが披露され、存在感を高めている。

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