JTBグループが来年度からリブランドする。1988年以来、35年ぶりとなる動きは、どんな意味があるのか。このほどメディア向け説明会でコーポレートコミュニケーション・ブランディング担当CCO髙﨑邦子執行役員が「観光が本格的な回復成長に向かう中、事業成長とブランドの情緒的価値の向上を両輪で進め、進化させていく」とリブランドに向けた意気込みを語った。
JTBグループは、中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」で事業計画を3つのフェーズで進めているところだ。フェーズ1(2020〜21年度)で「経費構造改革」、フェーズ2(2022〜24年度)で「回復・成長」、フェーズ3(2025〜28年度)で「飛躍・成長」に向かう計画。今回のリブランドを実行するのは、フェーズ2のタイミング。次期フェーズの「飛躍・成長」期に向けて事業変革を加速し、新しいブランド中核概念を具現化する商品・サービスを2025年度に向けて順次開発していく。
同社の経営ビジョン「地球を舞台に『新』交流時代を切り拓く」では、ツーリズム、エリアソリューション、ビジネスソリューションの3つの事業を成長させることを目標としている。しかし、ツーリズム以外の事業の広がりについては、社外においてまだ認知が低い。また、社内アンケートからも、社員としてのありたい姿とブランドイメージが異なる結果が判明したという。髙﨑氏はリブランドの背景について「イメージと目標の乖離をリブランドによって埋めていきたい。事業領域が広がるJTBブランドを認知してもらい、ブランドイメージの刷新で事業変革を加速させたい」と語った。
一方で、事業領域は拡大するものの「『旅行』は交流創造事業の最も大事なコンテンツであり、これは変わらない」ことを強調。例えば、リアル店舗について、基本的に縮小はしているものの、市場動向によって今後伸びる地域があれば新設も検討する考えだ。リブランドによって顧客視点で新たなブランド体験を創造し、その体験から顧客にJTBらしさを感じてもらうこを目指す。
「ダイナミック」なブランドへ
JTBでは、2023年4月からロゴを刷新するのに先立ち、第1弾としてコーポレートサイトをリニューアルしている。今後、掲載するコンテンツは人にフォーカスし、グループ会社のリリースをかみ砕いたバックストーリなどを掘り下げていく予定だという。こうした「ブランド体験コンテンツ」で、JTBグループの理解を深めてもらう考えだ。
リブランドによって、目指すのは「交流を創造し挑戦し続ける、多様性あふれるダイナミックなブランド」。現在のロゴに込められた思いとデザインのメリットを引き継ぎながら、単色表示で背景に体験価値やメッセージに合わせた色を選択できるようにした。これによって、多様性や可能性を表現する。12色ある背景色の選定は、会社として厳密な規定を作らず、顧客や内容に合わせて社員が自ら選択できるようにする。髙﨑氏は「ブランド全体のストーリーや体験を重視したブランディングにしていきたい」と力を込めた。
なお、本格的なリブランドは2023年4月から始まる。それと同時にグループ各社のプロダクトでのブランドデザインの整理にも着手する予定だ。