【年頭所感】ベンチャーリパブリック代表 柴田啓氏 ―日本の観光が世界へ追いつき、輝く年に

ベンチャーリパブリック代表の柴田啓氏が、2023年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

柴田氏は、日本の旅行市場は世界に比べて回復が大きく遅れたと指摘しつつ、今年は日本が世界へ追いつき、輝く年になると展望。インバウンド市場は、日本の価値のある観光資源が顕在化して輝きを放ち、苦戦が続くアウトバウンド市場も必ず活気を取り戻すと期待を示した。新しい需要にも対応すべく変化を続けながら、日本の観光産業が世界へ追いつき、輝く年になるよう、尽力していく意欲を述べている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


年頭所感 2023年

新年あけましておめでとうございます。皆さまにとって2023年が健やかな年になりますよう謹んでご挨拶申し上げます。

2022年は激動の年でした。ロシアによるウクライナ侵攻、インフレーション、エネルギー危機、テクノロジー関連株を中心とした株式市場の大幅な相場調整、ドル高に大きく揺れた為替相場、取引所破綻を伴った仮想通貨市場の混乱など、世界を揺るがす大きな出来事が相次ぎました。世界全体でサステナビリティへの意識が急速に高まった年でもありました。

ネガティブなニュースが相次いだ一方で、コロナウィルスによるパンデミックの影響がようやく弱まり、世界の殆どの国で旅行市場が急速な回復に向かい始めたことは、旅行・観光業界にとっても最大かつ極めてポジティブな喜ばしいニュースだったと思います。

弊社グループでは、北米を筆頭に世界200カ国の旅行者向けに展開するグローバル旅行メディアサイト「Trip101」を運営していますが、2022年、当該事業はサイトを通じて発生した旅行予約高が前年比で50%増、2019年比にて5倍増、と大きく成長し、欧米を中心に発生した世界各国における力強いpent-up demand (リベンジ旅行消費)を肌で感じることができました。その一方で、弊社が国内の旅行者向けに展開する旅行検索・メディアサイト「トラベルjp」の運営を通じて感じた国内の旅行市場においては、こうした力強い回復はみられず、海外と国内における市場の回復度合いに大きな差を感じざるをえませんでした。

このように2022年の日本の旅行市場は、残念ながら、世界に比べ回復が大きく遅れたことが否めませんが、2023年は日本が世界へ追いつき、そして輝く年になると思います。

昨年、私は、10月に日本の国境が全面開放されるまでの間、海外にいる数多くの友人から毎日のように「日本はいつ国境を開けるのか? 国境が開いたら一刻も早く日本へ旅行したいんだ!」との質問を受けました。振り返ると、パンデミックが始まってからこの3年余りは「日本の観光資産がいかに世界で高い評価を受けているか」を再認識させられた時期でもありました。

2023年はこうした日本が持つ高い価値の観光資産が顕在化し、日本のインバウンド旅行市場が大きな輝きを放つことになると思います。

インバウンド以外の旅行市場でも大きな回復がみられると思います。

市場回復が先行した国内旅行市場に続き、苦戦が続くアウトバウンド旅行市場も、航空各社の運航便増加などにより供給面での不安が解消されていくに従い、必ず活気を取り戻し、市場正常化へ向かっていくと期待します。

パンデミックをきっかけに、オンラインミーティングの普及が進んだことなどにより市場規模の大幅な縮小が懸念された国内の出張旅行市場でも市場回復の兆しがみえはじめています。弊社が2021年5月に立ち上げたチャットプラットフォームを活用した新たな出張予約サービス「トラベルjp for Business」では、直近3ヶ月にて出張手配件数が前年比5倍へと急増し、海外渡航を含めた企業の力強い出張需要の回復を肌で感じ始めています。

2023年は、日本の旅行市場にとって伸びしろしか無く、活気と輝きが戻る大きな1年になると思います。

1年前にもお伝えさせていただきましたが、コロナウィルスによるパンデミックは、業界に深く大きな傷を残した一方で、市場に新たな需要やビジネスチャンスをもたらしてくれたと思います。

前述した弊社のグローバル旅行メディア事業「Trip101」では、2022年、サイトを経由して発生した宿泊予約の単価が2019年対比にて50%以上も上昇しました。これは主に、リモートワークが普及したことによって、北米を中心に世界でエアビーアンビーなどの民泊施設を活用した長期滞在型の旅行者、いわゆる「デジタルノマド」と呼ばれる旅行者、が急増したことが背景にあります。

前述した弊社の出張予約サービス「トラベルjp for Business」が、立ち上げ間もない中で、大手企業を含むクライアント各社に導入いただけた背景にも、パンデミックをきっかけに企業各社のDXが大きく進んだことにあると思います。

弊社では、引き続き、こうした市場で発生する新たな需要に対応していくべく変化を続けていく所存です。

グローバルリセッションや軍事有事のリスクなど、不透明な世界情勢が続きますが、2023年、日本の旅行・観光業が世界へ追いつき、そして輝く年になるよう微力ながら尽力していく所存です。

ご支援のほどよろしくお願いいたします。

ベンチャーリパブリック代表

柴田啓(トラベルjp & Trip101)

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