全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)会長の多田計介氏が、2023年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
多田会長は、全国旅行支援や観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業などの補助金メニューによって、観光業界もようやく回復の兆しが見え始め、目的を失いかけた自分たちにとって喜ばしいこととしつつ、まだ予断を許さない状況にあると現状を説明。今後、人口減少社会に突入し、国内市場の縮小が避けられないなか、宿泊業界が抱える従前の課題に加え、国際化、DX化、SDGs等にも対応する必要性を述べた。全旅連という共助機能をさらに進めることで、新たなスタイルや展開を起こしていきたい考えだ。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2023年 年頭所感
2023年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、全旅連全国大会が100回目(100周年)という記念すべき年を迎え、コロナ禍にもかかわらずたくさんのご来賓をお迎えし、無事開催できましたことは、沢山の方々のご協力、ご支援の賜物であり、改めてお礼申し上げます。
また、このことを契機に新たな100年先を全旅連が一歩踏み出したことは、私にとって望外の喜びでもあります。
新型コロナウイルスの波が繰り返される中で、「全国旅行支援」や「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」等の補助金メニューによって観光業界もようやく回復の兆しが見え始め、目的を失いかけた私たちにとって喜ばしいことではありますが、まだまだ予断を許さない状況であります。
こうした中、私にとっては本年が3期6年の総仕上げの年となり、長くもあり短くもあったと感じられる年月でした。思い返せば全旅連として民泊問題に始まり、自民党観議連をはじめとする与党との連携強化、厚生労働省関連はもとより、観光庁の観光立国推進の一翼を担う組織になったこと。さらには人手不足対策のための外国人の受け入れのための特定技能制度や技能実習生2号の創設などにも尽力しました。一方任期後半は、最大の難関でもある世界中を巻き込んだ新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンディミックは、社会はもとより私たち観光業界に大きな打撃を与え、今日に至っています。未だ収束していない中ではありますが、諸問題に遺恨を残すことなく任期満了までやり遂げたいと思います。
振り返ってみると私自身が全旅連と関わって約四十年という時が過ぎ、人生の大半を全旅連に関わることができましたことは、私の人生にとって良き出会いであり大きな誇りであります。
「時代は移ろいゆくもの」といわれますが、その時間の流れの速さや変化に焦燥感や不安と闘いながら、全国の組合員の皆様と共に前に向かって進んでまいりました。これからの100年、我が国の人口は減少し続け、2048年には1億人を割って9913万人となり、2060年には8674万人になると推計されています。当然、国内観光客市場も縮小し続けることになります。これらを背景に宿泊業界が抱える税制、金融、諸法の改正といった諸問題に加え、サービスの国際化、決済システムの多機能化、さらには生産性向上も含めたDX化の整備、食品ロス対策やプラスチックの資源循環などSDGsへの対応等々に積極的に取り組まなければなりません。
こうした状況の下、全旅連という共助機能をさらに強く進めていかなければなりません。そして1団体としての活動では非力であってもコロナ禍で業界が学んだように業界団体として力を合わせれば、新たなスタイルや展開が起こるものと信じております。
最後になりましたが、長きにわたって広がった新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた全ての皆様に、心からの哀悼の意を捧げます。また、何よりもどん底まで落とされながらも必死で戦ってきた全国の組合員の皆様には敬意を表したいと思います。
本年が皆様にとりまして良き年になり、今後ますます皆様が成長発展いたしますことを祈念致しまして、ごあいさつといたします。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会
会長 多田計介