東京商工リサーチによると、2022年(1~12)月の宿泊業倒産(負債1000万円以上)は前年比11.6%減の76件だった。新型コロナの影響で2020年(118件)には100件を超えた宿泊業の倒産だが、雇用調整助成金などの国の支援策に支えられ、2021年、2022年と2年連続で件数が減少。負債総額も前年比83%減の236億3400万円で前年を下回った。
ただ、新型コロナ関連倒産は前年比17%増の55件で、全体の7割を占めた。遠出での観光や出張による宿泊需要が減少し、地方中心にコロナ禍を理由とした倒産の占める割合は高水準で推移した。
原因別では、販売不振が62件で8割を占めた。形態別では破産が59件と最多。消滅型の特別清算は14件で、再建型の民事再生法は3件にとどまった。地区別では関東17件、中部、九州が11件、近畿が10件と続いた。北陸は温泉地や観光地で倒産が8件発生し、前年より7件増加した。
東京商工リサーチは今後について、2023年は外国人による宿泊需要の増加が期待される一方、急速な回復に伴う設備へのコスト増や原材料高、人手不足と賃金上昇などが課題として表面化していると指摘。小・零細規模の事業者では、こうした負担が経営を圧迫する可能性が高まっていると懸念している。