東京商工リサーチは2021年度(2021年4月~2022年3月)の宿泊業の倒産状況を発表した。これによると、倒産件数は前年の127件から44.9%減の71件に減少。コロナ以前の2019年(74件)を下回り、過去20年間で最少となった。このうち、新型コロナウイルス関連での倒産は42件で、前年度の68件から26件減少した。ただし、構成比は前年度より5.6ポイント増の59.1%で、時間の経過とともにその比率が高まっているという。
2022年度の倒産件数が2019年と同水準に留まった理由について東京商工リサーチでは、2020年度がコロナの影響で7年ぶりに100件を超えた反動によるものとみている。ただし、外出自粛や近場外出が定着化するなか、雇用調整助成金の助成減額など政府による支援の縮小も見込まれることから、今後は再び宿泊業の倒産が増勢に転じる懸念があると指摘している。
負債総額は前年比1.1%増の1333億600万円。3年ぶりに前年を上回ったが、これは負債1000億円以上の大型倒産(東京商事)の発生で、負債総額を押し上げたため。形態別では「破産」が54件で、全体の76.0%を占めた。次いで、「特別清算」が13件、民事再生法が3件、内整理1件。
原因別では「販売不振」が59件で、全体の83.0%。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が6件、代表者死亡などを含む「その他(偶発的原因)」と「他社倒産の余波」が各2件。地区別では関東が21件、九州が14件、中部が13件、近畿と東北が各7件と続いた。都道府県別では、長野県が7件で最多。次いで新潟県と栃木県の各5件が続いた。