東京商工リサーチは、2022年(1~12月)の旅行業の倒産状況を発表した。それによると、倒産件数は18件で、7年ぶりに30件台まで増加した2021年から41.9%減少し、3年ぶりに前年を下回った。負債総額は前年比57.6%減の18億3200万円。過去20年で2019年(14億2100万円)に次ぐ低水準となった。
2022年はコロナ禍で継続しておこなわれた無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)や債務返済猶予の特例措置、雇用調整助成金などの支援策のほか、3月下旬にまん延防止等重点措置が解除されたことで国内旅行の需要回復が後押しした。
一方で、コロナ関連倒産は17件で、倒産の9割超を占めた。倒産件数自体は減少に転じたものの、海外旅行をメインに扱う事業者中心に、長期化するコロナ禍が経営に影響している。
原因別では、最多が「販売不振」の13件。形態別では破産が16件、地区別では東京都7件、大阪府が4件と、都市部の事業者が大半を占めた。
東京商工リサーチは、今後について、国内旅行の需要が急伸する一方で、円安により海外旅行需要は精彩を欠く状況が続き、インバウンドも回復に時間を要していると分析。2023年はゼロ・ゼロ融資の返済開始が本格化し、資金余力に欠く小・零細事業者では、先行きの不透明感によるあきらめ型を中心に、倒産が再び増勢に転じる可能性もあると懸念している。