東京商工リサーチは2022年上半期(1~6月)の宿泊業の倒産状況を発表した。これによると、倒産件数は前年同期比4.6%減の41件。小康状態は維持しているものの、コロナ禍の長期化で予断を許さない状況が続いている。コロナ関連倒産は27件で、前年同期から5件増加した。構成比も全体の65.8%と、時間の経過ととともにその比率が高まっている。
負債総額は同87.5%減の148億9500万円で、2年ぶりに前年同期を下回った。前年同期は14年ぶりとなる負債1000億円超の大型倒産が発生し、その反動で負債を押し下げた。
原因別では「販売不振」が前年同期と同数の34件で、全体の8割を占めた。次いで、「既往のシワ寄せ」が6件(前年同期比100%増)、「設備投資過大」が各1件(同50.0%減)だった。形態別では、破産が29件(前年同期比14.7%減)で、全体の7割を占めた。次いで、特別清算が10件(同24.3%)で続き、「消滅型倒産」は39件と9割超。一方、「再建型」は民事再生法の2件にとどまった。
負債額別では、1億円以上5億円未満が20件で最多。1000万円以上5000万円未満が7件、5000万円以上1億円未満が6件の順。10億円以上は4件で、前年から2件減少した。
東京商工リサーチによる全国宿泊業の業績調査では、コロナ前の2019年から2021年にかけて、売上高は約2兆円消失。同社は「当面、抜本的な宿泊事業者の復調施策が見込めないなか、企業倒産は再び増勢に転じる可能性も高まっている」と懸念している。