日本政府観光局、タイ国政府と観光客の相互往来へ連携、航空便の回復と安定供給に向けて

日本政府観光局(JNTO)とタイ国政府観光庁(TAT)は、両国間の相互往来の促進に向けて連携を強化する。2023年1月18日に趣意書(LOI)の調印をおこなった・今後、ツーウェイツーリズムの促進へ日本の地方空港を活性化するチャーターや相互プロモーションを検討していく。

この連携の背景には、両国間の双方向での観光客往来のバランスがある。双方の交流が拡大することで、コロナの間に減少した日本/タイ間の航空便の回復を目指す。

調印式では、TATユッタサック・スパソン総裁が「需要回復のスピードに観光・航空の回復が追いついていない。需要があっても限られた座席数で航空券の価格が高騰してしまった。観光客をコロナ前の水準に戻すためには航空座席を確保しなければいけない」と、その重要性を説明。現在ではコロナ前の5割程度にとどまる航空便を、早い段階で「80%まで回復させたい。そして、航空会社のビジネスが安定するよう、政府と民間の働きで搭乗率9割を目指したい」と意欲をみせた。

JNTOの清野智理事長は、今後のタイからの誘客について「四季を通じた日本の魅力やこれまで知られていなかった地方の魅力の発信を強化し、アドベンチャーツーリズムのような文化・自然とアクティビティを組み合わせた観光をアピールしたい」と取り組みを一層強化していく考えを示した。

LOIの有効期限は2年間だが、終了の申し出がない限り自動更新される。

調印式にはタイ王国特命全権大使 シントン・ラービセートパン氏、観光庁国際観光部長 星野 光明氏が立会人として参加

タイの観光再開からの道のりは「順調」

また、調印式の会見のなかで、TATユッタサック総裁は、タイ政府としての観光復活に向けた取り組みにも言及した。

2021年7月に、タイはアジアでもいち早く外国人の受け入れを再開。まずは、プーケット島で実験的に再開した。タイ経済にとって観光は非常に重要な産業であるが、パンデミックにより移動制限されるなか、訪タイ観光客数は2019年4000万人から2021年には40万人まで減少。早期の復活に向けて、ユッタサック総裁は「プレッシャーを感じてきた」と明かす。

タイは、観光再開への歩みについて市民の安全確保と水際対策緩和を重視しながら進めてきた。そして、昨年2022年10月1日からは、外国人旅行者に対して入国時のワクチン接種証明や陰性証明を求めない完全開国を果たしている。ユッタサック総裁は「接種証明なしで入国が可能になったことは、とても大切なこと」と力を込める。

一方で、この措置についてタイ国民に不安がないわけではない。総裁は「自分たちの選択として、(自分たちが)ワクチン接種をすることで、海外からの客を受け入れることを決めた」と話した。TATでは、観光産業に携わる人々に対してワクチンのブースター接種を推奨。その接種率を70%することを目標にしている。

ユッタサック総裁は、早期から外国人旅行者の受入れを開始したことで「2022年には順調に観光の回復を成功させてきたと評価している」と自信を見せる。2022年にタイを訪れた外国人旅行者は1100万人に回復、日本からは30万人が訪れた。これを受けて、2023年は海外からの観光客数の目標を2000万人、このうち日本からはコロナ前の60%の100万人を目指す。

今後、TATは「食」「映像」「ファッション」「ムエタイ」「祭り」など、外国人旅行者に人気のソフトに関するコンテンツを軸に世界に発信していく方針だ。

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