2025年日本国際博覧会協会は、大阪・関西万博における「未来社会ショーケース事業出展」のうち、「スマートモビリティ万博」の「空飛ぶクルマ事業」への参画・協賛企業の5社を選定した。万博を契機に空飛ぶクルマの実用化、サービス普及を目指す。
万博期間中に空飛ぶクルマの運航に参画するのは、ANAホールディングスおよび米国Joby Aviation、JAL、丸紅、SkyDriveの4社。いずれも電動垂直離着陸機(eVOTAL)を活用し、会期中に大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)会場内ポートと会場外ポート、関空などをつなぐ3地点間でパイロットと乗客による有人運航を計画している。
参画企業を発表する記者会見では、国交省航空局長の久保田雅晴氏が制度整備について説明。現在、国交省では米国連邦航空局などと情報連携し、具体的な離着陸の設置基準など検討を進めているところ。3月末までに制度整備の定め、最終的には2024年3月末までにすべての整備を終える計画だ。久保田氏は「新しい形態が日本で根付く環境整備を進めている。そのためにも万博での成功は重要」と話し、空飛ぶクルマの実用化に向けた国としての後押しに意欲を見せた。
JALやANAなど4事業者が運航、オリックスはポート運営で協賛
ANAホールディングスとJoby Aviationは、Jobyが開発した電動エアモビリティ「eVTOL Joby S-4」を活用する。同機は、5席仕様で最高速度は時速320キロ、最高航続距離は240キロ。これまでに1000回以上の試験飛行を行なっており、2022年10月には海外機として初めて日本の型式認証申請を行なっている。
JALは、独Volocopterが開発する2人乗りマルチコプター型eVTOLを活用する。2月21日には日本での型式証明を申請し、受理された。また、住友商事も同社への出資を決めている。最高速度は時速110キロ、最高航続距離は35キロ。2024年にはパリ、シンガポールなどで商用運航が予定されている。
丸紅は、英国Vertical Aerospace Groupの「VX4」を運航。両社は2021年9月に日本国内における市場調査や事業参画検討の共同実施に関する業務提携契約を締結した。丸紅は、VX4運航事業の早期実現を目指して25機分の購入予約権を取得している。定員はパイロット1人と乗客4人。最高速度は時速320キロ、航続距離は160キロ以上。
SkyDriveは、自社開発のeVOTAL「SD-05」を使用。同社は2019年に日本で初めて「空飛ぶクルマ」の有人飛行に成功している。定員はパイロット1人と乗客1人。最高速度は時速100キロ、最大航続距離は約10キロ。同社ではエアタクシーのほか、リゾートへのアクセス、救急医療での活用も視野に入れている。2021年10月に型式証明申請を行った。
また、協賛企業にはオリックスが選定された。万博会場内の北西に位置するモビリティエクスペリエンスに設置予定のポートの運営(整備・維持管理・撤去を含む)を実施する。