2022年の世界のCO2排出量が過去最高に、航空需要の急増も大きな要因、異常気象やウクライナ危機も化石燃料回帰に拍車

AP通信によると、2022年の世界の二酸化炭素排出量は、記録が残る1900年以降で最も多かった。その要因は、パンデミックから航空需要が急回復する同時に、都市では低コストのエネルギー源として石炭が再び注目されたことにある。

国際エネルギー機関(IEA)は、エネルギー生産に伴う二酸化炭素排出量は前年比で0.9%増加し36.8ギガトンに達したと発表した(NASAによると、1ギガトンは空母約1万隻分に当たる)。石炭によるエネルギー生産からの二酸化炭素排出量は1.6%増加した。

化石燃料に頼らざるを得ない背景のひとつには、異常気象がある。干ばつによって水力発電に利用できる水が減少。その中で、世界的な熱波が電力需要を押し上げた。また、主にアジアの多くの国では、ウクライナ危機によって、天然ガス価格が高騰したことから、石炭への切り替えが進んだ。

石油の燃焼による二酸化炭素排出量は2.5%増加した。世界の航空便が急増したことが原因の一つと言われている。

1900年以降毎年のように排出量は増えているが、パンデミック真っ只中の2020年は例外。中国がゼロコロナ政策で生産性を抑制したことが大きい。IEAによると、欧州では、風力と太陽光の発電量が初めてガスや原子力による発電量を上回った。

マサチューセッツ工科大学スローン持続可能性イニシアチブのディレクターであるジョン・スターマン氏は「化石燃料からの排出量は依然として増加しており、世界の気候目標達成に向けた取り組みを妨げている。 国際的および国内の化石燃料企業は記録的な収益を上げている。気候目標を達成するという公約に沿って、責任を分担する必要がある」と警鐘を鳴らす。

それでも、各国が掲げる排出量削減目標を達成するのはまだ可能との認識も示す。「国は再生可能エネルギーに補助金を出して、エネルギー効率の改善、産業と輸送の電化、森林伐採の抑制、植林の促進を進め、現在の化石燃料システムを崩さなければならない」と主張した。

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