宿泊予約システム「トリプラ」、インドネシアのホテルテック企業を取得、海外販路を拡大する新サービスを展開へ

宿泊施設向けITソリューションを展開するtripla社(トリプラ)は、インドネシアで同じく宿泊施設向けITサービスを展開するBookandLink社(B&L)を子会社化する。日本政策投資銀行(DBJ)との共同買収で、持ち分比率はトリプラ社が53%、DBJが47%。トリプラの2023年10月期第3 四半期決算説明会で買収を発表した。

今回の子会社化は、両社のサービスや技術の強みの相互補完とリソースの最適化によってシナジーを発揮し、成長戦略を図ることが目的。トリプラは2022年11月、東京証券取引所グロース市場に上場した際、成長ドライバーの1つとして海外展開をあげていた。すでに台湾と韓国に支社を設立しているが、トリプラ代表取締役CEOの高橋和久氏は「今期以降は東アジアや東南アジアを中心に、M&Aを絡めた海外展開に力を入れていく」と今後の方針を説明した。

子会社化したB&Lは、シンガポールに本社を置き、子会社のPT. SURYA JAGAT MANDIRI(SJM)がインドネシアのバリ島と中心とする宿泊施設にサービスを提供。特に、主力商品のチャネルマネージャー(サイトコントローラー)「channelku」に強みを持ち、OTAでは、グローバルOTAをはじめ、トラベロカやペギペギなど東南アジアのOTAを含む19社と連携。PMS(ホテル基幹システム)は17社と連携している。現在、2465軒(2023年7月末)の宿泊施設が導入しており、インドネシアで2番目の規模を誇る。

トリプラではこれまで、主力である宿泊予約システム「triplaBook」と、AIチャットボット「triplaBot」、CRM・MA「triplaConnect」、現地決済「triplaPay」を提供。triplaBookを中心に各サービスを接続し、予約起点としたワンストップサービスのエコシステム構築を成長戦略の柱として新サービスの開発を予定していた。今回、B&Lを子会社化することで、チャネルマネージャーは開発をB&Lで一元管理し、B&Lの「channelku」を活用した「triplaChannel」として提供する。

高橋氏は、大手のチャネルマネージャー企業が複数存在する日本での勝機について、「ポイントは2つある。1つはインドネシアで作られた、約2500軒の導入実績がある品質が担保された商品を、圧倒的な競争力のある価格で提供できること。もう1つは、東南アジアからのインバウンドの集客力。現在もOTAとの連携を広げており、日本の宿泊施設がこれらのOTAから予約を獲得できる」とアピール。日本のOTAやPMSとの連携も、これまでの連携実績を踏まえ、「スピード感をもって対応できる」とアピールした。

左から)トリプラCEOの高橋氏、B&L創業者CEOのラウネット氏、B&L創業者のブロナー氏、同ワグナー氏、トリプラCTOの鳥生氏さらに、インドネシアにおいても、従来のB&Lの予約システムが簡易版での無償提供だったことから、今後はトリプラが開発を一元管理し、課金可能な予約システムとして「triplaBook」を提供。B&Lの主力である「channelku」と連携し、予約システムからの収益もビジネスの柱としていく考えだ。

B&Lの買収完了後には、トリプラのグループサービス全体の契約施設数は、5490軒(トリプラ側:2635軒、B&L側:2855軒)になる見込み。高橋氏は「(今回のM&Aで)契約施設数が倍増する。世界のホスピタリティIT業界で契約施設数が1万軒を超えるのは数社しかない。当社の世界トップ10入りが見えてくる」と話し、B&Lの創業者で代表取締役CEOのフィリップ・ラウネット氏とは、1万軒超を目指すことで合致していることも話した。

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