厚労省、宿泊拒否が可能になる「改正旅館業法」の運用方針を発表、相談窓口の設置など

厚生労働省は、改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会のとりまとめ概要を公表した。宿泊を拒否できる改正旅館業法が2023年12月から施行されることを受けて、差別の助長や宿泊客とのトラブルを避けるための運用方針などが検討されてきた。

宿泊拒否制限については、引き続き感染症法等の一部改正法の施行に向けた準備を進めていくほか、都道府県などは、営業者その他の関係者に対して、特定感染症国内発生期間における営業者が相談できる相談窓口などを平時から周知・確認し、関係者間での連携を図るべきこととした。

また、差別防止の徹底では、検討会で聴取した障害者差別解消法に関する内容を、ガイドラインに盛り込むことが適当とし、各旅館・ホテル団体は、好事例やトラブルとなった事例などを営業者間で共有する仕組みの構築を検討することが望ましいとまとめた。

加えて、厚生労働省は、改正法や政省令、指針の趣旨や内容を中心にまとめた研修ツールを作成し、施行までの期間、その内容の浸透に努めること、来年4月までの間に障害者差別解消法に基づく衛生事業者向けガイドラインの改訂版で旅館業関係の内容を研修ツールとしてまとめて公表することを求めた。

このほか、厚生労働省は、都道府県などに対して、相談窓口を明確にしたうえで広報し、利用者から不当な協力や宿泊拒否の申し出があった場合あるいは営業者から相談があった場合に、適切に相談に応じること、相談窓口で障害者差別解消法担当部署と適切に連携することを働きかけていくことを求めた。

改正旅館業法では、感染症法上の位置づけが1類や2類などの感染症が国内で発生した場合、宿泊施設は、発熱などの症状が降る宿泊者に対して、検温や客室での待機を求めることができる。

営業者向け指針で宿泊拒否の該当例

また、検討会では、改正旅館業法に基づく営業者向けの指針(案)の概要も示した。このなかで、宿泊拒否に関しては、他の宿泊者に対する宿泊サービスの提供を著しく阻害するおそれのあるものを繰り返したときに該当するとし、その例として、宿泊料の減額や実現が容易でない事項の要求、粗野または乱暴な言動など従業員の心身に負担を与える要求、接遇に通常以上の労力が必要となる要求などを挙げた。

一方で、宿泊に関して障害者差別解消法の社会的障壁の除去を求めることに対して、宿泊拒否はできず、障害を理由とする宿泊拒否はできないことを明確にしている。

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