ラーム・エマニュエル駐日米国大使と斉藤鉄夫国土交通大臣は2023年11月29日、2024年を「日米観光交流年」とする協力覚書に署名した。コロナ禍で落ち込んだ日米双方向の観光およびビジネスの交流をさらに促進していく。
マニュエル駐日米国大使は、「日米観光交流年は、観光の促進だけでなく、両国の経済成長の新たな道を開き、文化交流を促進するもの」と位置付けたうえで、「来年以降に増加する米国への日本人旅行者、日本への米国人旅行者のために準備を進めていく」と挨拶した。
今年7月には、広島市の平和記念公園とハワイ州ホノルルのパールハーバー国立記念公園が「姉妹公園」協定を結ぶなど、日米は両国間の観光促進を加速させている。
また、斉藤国土交通大臣は、「日米間には464の姉妹都市提携がある。観光交流年を契機として、地方レベル間の交流の再開・促進に日米双方で努めていこう」と呼びかけたほか、2024年はベーブ・ルースが日米野球で訪日して90周年にあたることから、「スポーツを通じた観光交流も深めていきたい」と意欲を示した。
日米観光交流年は、米国側は商務省全米旅行観光局、商務部、在日米国大使館、ブランドUSAが、日本側は観光庁、日本政府観光局(JNTO)、日本旅行業協会(JATA)が展開していく。
ブランドUSAのコーポレート・アフェアーズ最高責任者アーロン・ウォディン=シュワルツ氏は、来年は消費者向けの広告キャンペーンや旅行業界向けセールミッションを実施することを明らかにしたうえで、「日本からのアウトバウンドの回復は遅れているが、この観光交流年を契機として、日本を訪米旅行者数第2位(長距離市場)まで戻していきたい」と力を込めた。
2019年の訪米日本人旅行者数は約380万人。支出額は130億ドル(約1.9兆円)にのぼっていた。ブランドUSAによると、2023年10月の訪米日本人旅行者数は2019年10月比で46%にとどまっている。
米国は2027年までに年間9000万人の外国人旅行者、消費総額2790億ドル(約41兆円)を目指している。
双方向でスムーズな出入国管理へ
このほか、河野太郎デジタル大臣は、2024年末までにはグローバル・エントリー・プログラム(GEP)のオンラインシステムを構築したいと表明した。日米両政府は、GEPの本格稼働ですでに合意している。
米国のGEPは、米国のCustoms and Border Proection (CBP)が運営するもので、事前の承認を受けた危険度が低い渡航者の航空機による米国入国手続きを簡略化するための制度。このプログラムに参加すると、到着空港の自動化キオスクで、パスポートやビザをスキャンさせ、指紋照合を行えば、入国手続きが完了するため、入国審査の列に並ぶ必要はなく、スムーズな入国が可能になる。
※ドル円換算は1ドル147円でトラベルボイス編集部が算出