2024年1月2日、新千歳空港発のJAL516便と海上保安庁機MA722の衝突事故が羽田空港で発生した。JALは、1月3日14時時点で乗客367人(幼児8人を含む)、運航乗務員3人、客室乗務員9人の計379人全員の脱出を確認したと発表。ロイター通信を含め、海外メディア各社は、この脱出について「まさに奇跡」と報じている。
ロイター通信が入手した乗客からの動画には、「早くここから出して」「早くドアを開けて」との叫び声が聞こえる一方、別の動画には、客室乗務員が乗客に脱出の協力を呼びかけ、落ち着くように諭している様子も写っている。
前方の座席に座っていた乗客は、客室乗務員がすぐに避難シュートを展開すると、慌てた様子の乗客も一部いたが、全体的に整然と脱出し始めたと明かした。
JALは、航空機が停止した直後に脱出が始まり、全員が20分以内に安全な場所に移動できたと話している。また、脱出時には機内のアナウンスシステムが不作動となったため、客室乗務員がメガホンと肉声で誘導。安全に脱出できる出口を客室乗務員が判断し、3箇所の非常脱出口から乗客乗員全員が脱出した。1人が打撲、そのほか13人が体調不良で医療機関を受診した。
ロイター通信は、避難時の乗客が誰も手荷物を持っていなかったことに着目。航空会社は離陸前の安全ビデオで「緊急時には手荷物はそのままにするように」と呼びかけているが、それが今回の事故で守られていたことを報じている。
英国の航空コンサルティング会社シリウムの航空安全ディレクターのポール・ヘイズ氏は「JALの客室乗務員は素晴らしい仕事をした。手荷物を持って避難している乗客は見当たらない。乗客全員が脱出できたのは、奇跡だった」と語った。
ある乗客は、脱出約10分後に機内で爆発が起きたと明かし、「奇跡としか言いようがない。もう少し遅かったら、死んでたかもしれない」と話した。
この状況に、他の海外メディアも反応。CNNは、同じく誰も手荷物を持ち出していないことに注目したほか、JALは、520人が死亡した1985年のJL123便の事故を教訓に安全運航に対する教育を徹底していることを伝えた。
また、日本のインターネットではJALの対応に驚きと賞賛の声が上がっており、X(旧ツイッター)では、「#ありがとうJAL」がトレンド入りした。
JAL、航空券変更で特別対応
羽田空港では、事故直後には閉鎖していた3本の滑走路の運用をすでに再開。事故が発生したC滑走路の再開は目処が立っていない。
JALは、事故に伴う影響を考慮し、JAL便の利用者の航空券について、手数料なしで変更、払い戻しを受ける。対象便は、2024年3月31日までのコードシェア便を含むJALグループ便(国内線・国際線)。手続き期間は2024年1月31日まで。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳、各種情報を追加のうえ編集しました。