日本旅行業協会、2024年は「海外旅行の復活」へ、法人需要が活性化、修学旅行は旅費上限の改善を申し入れ

日本旅行業協会(JATA)は2024年1月10日、新春記者会見を開催し、会長の髙橋広行氏が旅行業界を取り巻く環境やマーケットの現状と課題、今後の取り組みなどを述べた。

髙橋氏は、2024年を「旅行業界の完全復活元年に位置付けたい」として意気込み、最も取り組むべき課題に「海外旅行の復活」と高付加価値旅行や持続可能な観光など「目指すべきツーリズムに向けたビジネスモデルの変革」をあげた。

特に海外旅行については、いまだ日本人出国者数が2019年の6割程度にとどまっている状況。一方で明るい兆しとして、法人の海外団体需要が活性化していることを指摘した。コロナ禍の3年間、創業記念を迎えた企業の周年事業や、企業の営業活動の再開に伴うインセンティブ旅行が見込まれることから「団体旅行の動きが個人旅行に良い影響を与え、海外旅行全体が活性化していければ」と期待を示した。一部の旅行会社では、すでに2019年レベルを超える受注があることも明かした。

さらに、2024年が日本人の海外旅行自由化60周年であることや、日米観光交流年、トルコとの外交関係樹立100周年、パリ五輪など「追い風の材料がある」と説明。「節目の年に完全復活するよう、全力を尽くす。好機をいかし、国内旅行や訪日インバウンドとともに三位一体のバランスの取れたツーリズムの復活を早急に実現したい」と話した。

なかでも、日米観光交流年は「観光やビジネスなど双方向交流の促進を目指すもので、海外旅行復活の大きな一助になる」と期待。日米間に464都市ある姉妹都市縁組を通じた交流の活性化で、海外旅行の回復・拡大につなげたい考えだ。

一方、海外への修学旅行に関しては、昨今の旅費高騰によって各都道府県が設ける旅行費用上限が実態とあわなくなっている。また、旅行会社の添乗員や稼働できるバスが不足している状況もある。JATAとしては、各都道府県の自治体や教育委員会等に、こうした状況の申し入れを実施。自治体によっては「上限金額はあくまでも原則であり、各学校が判断可能」という動きもみられているという。

このほか、人手不足の対策と観光DXの推進による生産性向上、休み方改革など、業界が直面する課題にも取り組む。最後に高橋氏は、すべての取り組みはコンプライアンスがベースにあるべきと強調。「旅行業界全体で意識と行動の変革を進め、信頼回復に全力を注ぐ」と話した。

能登半島地震、段階に応じて対策、観光を通じた支援策を

2024年元日に発生した能登半島地震への対応については、過去の災害対応例を参考にしながら、復旧・復興の段階に応じた施策を打つ必要があるとの考え。現在はまだ復旧段階で現地が混乱している状態とし、義援金の募集やボランティア活動を受け入れる余地がある場合は派遣する準備も進めているという。

一方、復興段階に入ったタイミングが来れば、被害がない地域の風評被害対策や被災地の観光再開時に対して「観光を通じた支援策の展開が必要」との考えを示した。国や自治体の支援などを含め、状況を見ながら対応していく方針だ。9月に開催するツーリズムEXPOジャパンでも、復興支援に資するようなプログラムを取り入れる方向で、検討をはじめている。

なお、訪日旅行への地震への影響では、現在のところ、大きなキャンセルは発生していないことも明らかにした。

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