観光産業の春闘2024、魅力ある産業となる正念場、賃上げ要求水準「5%」、労働環境の改善も -サービス連合

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2024年の春季生活闘争(春闘)で、5%の賃金改善を要求に掲げる方針を示した。人事賃金制度のある加盟組合は、定期昇給(定昇)分で2%、実質的な賃金改善(ベースアップ)で3.0%を目指す。

2024年1月22日に開催した記者会見で、会長の櫻井あすか氏は「人手不足は喫緊の課題」と強調したうえで、「人手不足の解消だけでなく、働きたい、働き続けたいと思える産業の実現に向け、持続的に賃上げをしていけるかの正念場となる。大きな転換点ととらえ、一丸になって取り組んでいきたい」と意気込みを述べた。

ベア「1%以上」を掲げた2023年の春闘では、コロナ禍からの復調や社会的な賃上げ機運、人手不足を受けた企業側の人への投資に対する理解などが進み、過去最高の賃金改善(2023年8月発表の改善率3.23%)の成果を得た。これを一過性で終わらせず、持続的な発展のための賃上げを目指し、他産業との人材確保競争に勝ち抜く労働環境を目指す。

そのため、賃金改善や一時金以外にも、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得拡大など総合的な労働環境の改善にも注力する。両立支援・男女平等社会の実現に向け、子の看護休暇・介護休暇の遊休化や改正育児・介護休業法への適切な対応とともに、男性の育児休業の取得促進についても労使協議をすることで確認した。また、60歳以降の雇用と労働条件の制度確立に向けた取り組みや、70歳までの継続雇用制度の導入などの労使協議もおこなう。

櫻田氏は「我々の産業は決して労働環境が良いとはいえない。産業間の格差を埋めるためにも、しっかりと春闘に取り組む」と話し、「労働集約型である我々の産業の、最大の資本は人材。人への投資なしで発展はない。働きやすい環境と良い労働条件があって、人材確保競争に勝っていける」と力を込めた。

2024年春闘は、2月末までに要求書を提出。3月11日から15日を集中交渉期間とし、3月末日までの合意決着を目指す。

2023年冬賞与は平均1.66カ月、コロナ前を上回る

サービス連合によると、2023年秋闘で12月16日までに合意・妥結した集計可能な45組合の冬期一時金月数は、単純平均で1.66カ月(2022年:1.29カ月)となり、コロナ前の2019年秋闘(1.23カ月)を上回った。業種別では、ホテル・レジャー(26組合)の平均は1.48カ月(前年:0.98カ月)、ツーリズム・航空貨物(19組合)の平均は1.94カ月(前年:1.85カ月)だった。

全体の冬期一時金(2023年春闘で合意、または業績連動制度などで12月16日までに水準を確定した加盟組合を加えた、計77組合)の平均月数は、1.55カ月(前年:1.36カ月)。ホテル・レジャー(41組合)が1.37カ月(前年:0.93カ月)、ツーリズム・航空貨物(36組合)が1.78カ月(前年:1.88カ月)だった。

夏冬の年間一時金も、74組合の単純平均で3.01カ月(前年:2.26カ月)と増加し、2019年(2.87カ月)を上回った。ホテル・レジャー(39組合)の平均は2.40カ月(前年:1.60カ月)、ツーリズム・航空貨物(33組合)の平均は3.81カ月(前年3.13カ月)だった。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…