東京国立博物館で、建立900年特別展「中尊寺金色堂」が開幕した。堂内中央に設置された須弥壇に安置されている国宝の仏像11体をはじめ、かつて金色堂を荘厳していた国宝「金銅迦陵頻伽文華鬘」や重要文化財など50点が展示されている。寺外で国宝11体の仏像をそろって観覧できるのはこれが初めてとなる。
中尊寺金色堂は、争いが続いていた平安時代末期に、平和を願った奥州藤原氏初代の藤原清衡が極楽浄土を表現するために建立。東北地方最古の現存建築物だ。内外を金色で飾った建物や、螺鈿・蒔絵などの漆工、金工のさまざまな技法は、奥州藤原氏の栄華を今に伝えている。2011年には、ユネスコ世界文化遺産にも登録された。
本館特別5室の中央には、ふくよかなお顔の「阿弥陀如来坐像」。その脇を「観音菩薩立像」と「勢至菩薩立像」を固め、三尊像の両脇には「地蔵菩薩立像」が並ぶ。前方には「持国天立像」と「増長天立像」。この配置は、実際の金色堂の並びを再現したもの。それぞれガラスケースで囲われていることから、普段は見ることのできない背後や横からの角度でも見ることができる。
東京国立博物館東洋室主任研究員の児島大輔氏は「奥州藤原氏は当時、京都とは異なる先駆的な取り組みをしていた。東北ながら流行の発信源だった」と中尊寺金色堂の先進性を解説した。
今回の展示にあたっては、NHKとの協力で、8KCGで金色堂を原寸大で再現した映像も披露されている。また、音声ガイドも用意。声優の梶裕貴さんがナビケーターを務め、各展示をわかりやすく解説している。
児島氏は「仏像11体を個別に識別できると、より親しみが湧いてくる。この展示を機会に実際に中尊寺にお参りしてもらえれば、さらに理解が深まると思う。一人でも多くの人たちに訪れてもらいたい」と話し、この特別展が平泉への旅行のきっかけになることに期待感を示した。
建立900年特別展「中尊寺金色堂」は今年4月14日まで開催される。