法人旅行・出張管理の世界大手アメリカン・エキスプレス・グローバル・ビジネス・トラベル(アメックスGBT)は、出張管理および会議ソリューションプロバイダー世界大手CWT社を買収する契約を締結した。この買収におけるCWTの価値は約5億7000万ドル(約861億円)。この取引は、株式と現金の組み合わせによって資金調達され、規制当局の承認を受けたうえで、2024年下半期に完了する予定。
CWTは現在、約4000社の顧客にサービスを提供。2024年には約8億5000万ドル(約1284億円)の売上、7000万~8000万ドル(約106億円~約121億円)の調整後EBITDAが見込まれてる。
買収完了後、CWTの顧客は、出張と経費に関するアメックスGBT独自のソフトウェアとサービスにアクセスすることができるようになる。また、主要なテクノロジーパートナーとの統合も可能になる。
買収による相乗効果は3年間で約1億5500万ドル(約234億円)と想定。その約35%は2025年に実現すると予想されている。
アメックスGBTのポール・アボットCEOは、「アメックスGBTのソフトウェアおよびサービスモデルにCWTを導入することで、顧客および株主により多くの機会とより多くの価値を生み出す」とコメント。また、CWTのパトリック・アンダーセンCEOは、「アメックスGBTと提携することで、人とテクノロジーが融合した優れた顧客体験を提供できるようなる」と話している。
旅行テックのM&Aに詳しい投資銀行Cambon Partnersのモルガン・レジネー氏は、今回の買収を歓迎。顧客にとっても企業にとっても規模の経済を実現することが重要であると指摘した。さらに、「今回の買収は、2024年がトラベルテクノロジー分野におけるM&Aにとって過去最大の年となることを予見するもの。コロナ後の統合の波は避けられない、同時に、高金利によって、スタートアップの資金調達が滞り、企業が合併したり、閉鎖に直面したりする事態につながっている」と分析した。そのうえで、「2024年の旅行市場の見通しも非常に明るいため、多くのプレーヤーは、今が競合他社を獲得する適切な時期であると考えている」とコメントしている。
※ドル円換算は1ドル151円でトラベルボイス編集部が算出