東京都神津島村は、東京都の補助事業「東京宝島 サステナブル・アイランド創造事業」で、NTT東日本、ANA NEO、ANA X、テレビ朝日と連携し、観光分野で新たに3つの取り組みを開始する。新たな概念として「サステナブル観光ループ・神津島モデル」を提唱。神津島との関係人口を増やし、持続的な発展モデルの構築を目指す。
神津島のサステナブル・アイランド事業は、観光振興、地域交通整備、農業活性化、横断的DX推進の4領域の事業で構成。「サステナブル観光ループ・神津島モデル」では、NTT東日本が全体コーディネートを担い、観光振興分野での取り組みに注力する。
具体的には、ANA NEOのメタバース「ANA GranWhale」、ANA Xのアプリ「ANA Pocket」、テレビ朝日による「星空」コミュニティ創出を通じて、島のファンを増やす好循環を形成していく。
神津島の前田弘村長は「神津島にはさまざまな魅力があるが、知られていないのがネック」との課題認識を示したうえで、「サステナブル・アイランド創造事業を通じて、活力ある島を取り戻す。その道筋を見つけるのが我々の使命。行政だけでなく、民間パートナーとともにさまざまと取り組みを展開していく」と意気込みを示した。
神津島には昭和40年代の離島ブーム時に年間約10万人が来島していたが、コロナ前で4万人~5万人に減少。一方、海水浴シーズンの夏に観光客が集中する課題も続いているという。
シーズン分散化に向けては、日本で2番目の星空保護区として日本初の「ダークスカイ・アイランド認定」を受けた星空に焦点を当てる。また、島内周遊に向けては、サステナブル・アイランド創造事業の枠組みのなかで、ライドシェアも含め二次交通の課題解決にも取り組む考えだ。
NTT東日本副社長の熊谷敏昌氏は、今回の協業について「ANA NEOが『知る・行くきっかけづくり』、ANA Xが『現地体験価値の最大化』、テレビ朝日が『つながりの創出と強化』」と説明。そのうえで、日本の有人離島は神津島と同様の課題を抱えていることから「今回の事業で、画期的なソリューションを確立し、課題解決に向けた先駆けのモデルにしていく」と話し、将来的な横展開に期待を寄せた。
ANA未就航地でもデジタルソリューションで地域活性化
ANA NEOの「ANA GranWhale」では、神津島を知るキッカケ作りとして、神津島の秋・冬のベストスポット4カ所をバーチャル上に再現。航空機で神津島空港に降り立ち、天上山でのハイキング、名組湾で美しい夕陽を眺め、ありま展望台で星空を鑑賞するコースを自分のアバターで体験できる空間を作り出した。ANA NEO CEOの冨田光欧氏は「ANAグループあげて地方創生に取り組んでいるところ。ANA NEOもその一翼を担う」と話し、事業参画への意義を強調した。
また、移動でポイントが貯まる「ANA Pocket」では、神津島の観光情報などをまとめた「神津島観光アプリ」を提供。宿泊、島外・島内の交通情報を集約し、Digital MAPを用いて島内の観光スポットや飲食店などを可視化した。また、島内の観光スポットへのチェックイン機能やユーザーの移動に合わせた神津島観光アプリの認知施策を実施する。ANA X副社長の徳田智昭氏は「ANA未就航地でも地域活性化や観光振興で自治体やパートナー企業と一体で取り組んでいく」と話した。
テレビ朝日は、星空好き、星空関連企業、島民が参加する共創型コミュニティ「星空ツナガルコミュニティ」を構築していく。デジタル・コミュニティやリアルコミュニティイベントへの参加、企画者向けコミュニティイベントの開催などを仕掛けていく。今年5月~6月に第一弾として実証イベントを開催し、9月には「コミュニティweek」を神津島内などで実施。今夏のコミュニティサイト本格オープンに向けて、星空ファンや企画者の初期メンバー約100人を募集する。
テレビ朝日ビジネスソリューション本部インターネット・オブ・テレビジョン局長の大場洋士氏は「これまで培ってきた映像技術とWeb3.0を含めた新しい技術を使ったコミニューケーションを提案していく」と意欲を示した。