訪日客のタビナカに商機、アサヒビールとJTBが夜観光に取り組む理由とは? 浅草「夜桜、人力車ツアー」を取材した

JTB、アサヒビール、観光人力車サービスを展開する時代屋の3社は、浅草で訪日外国人向けナイトタイムエコノミーを促進する「夜桜 人力車お花見プラン」を期間限定で実施した。これは、JTBとアサヒビールが今年1月から開始した訪日外国人向け「上質なナイトタイムエコノミーの創出」を目的とした共創プロジェクトの第一弾となるもの。

桜の開花に合わせて、3月27日、28日、4月5日、6日の4日間限定で各日2回実施。雷門、墨田公園周辺の桜並木や浅草街中の桜スポットを約45分で巡る。初日の27日は、まだ開花していなかったものの、3組の訪日外国人が参加した。

開花していたら、東京スカイツリーをバックに桜。訪日市場では、夜の消費を促すナイトタイムエコノミーで、コンテンツ、機会、プロモーションの不足など課題がある。JTBは、ナイトタイムエコノミーで地域や事業者を支援することで、幅広い経済波及効果を生み出していきたい考え。ナイトタイムエコノミーの分野では「業界の垣根を超えて、異業種の事業者とのコンテンツ作りが欠かせない」(JTB広報)ことから、今後もアサヒビールをはじめとする様々な異業種との共創を続けていく計画だ。

一方、アサヒビールとしては、海外市場での同社商品、特に「アサヒスーバードライ生ジョッキ缶」の販売戦略の一つとして、インバウンドをその入口と位置付けているという。同社企画・支援本部S&OP企画部部長の田上寛隆氏は「まずは、訪日客にアサヒビールの商品を知ってもらうこと。今後さらに訪日客が増えると予想されるなかで、その機会もさらに広がる」と期待をかける。

JTBとアサヒビールは4月下旬には、弘前市とともに「弘前さくらまつり」でも連携。さらに、夏には首都圏あるいは関西圏でインバウンド向けのビアガーデンの開催を構想している。

ひと工夫で周遊促進

今回の人力車プランでは、地域のナイトタイムエコノミーの促進で工夫を加えた。通常、時代屋の人力車ツアーは時代屋(明治館)発着だが、今回はあえて公園本通り(ホッピー通り)周辺を到着地とし、ツアー終了後には浅草六区周辺の飲食店マップを渡し、立ち寄りを案内した。

スペインから初来日したカルロスさんとホセさんは、インターネットでこのツアーを見つけたという。「とても日本らしい体験。桜はまだだったけれど、気持ちいい時間だった」と振り返り、マップを渡されると、二人で次のプランを話し始めた。

スペインからの二人は、このあと浅草の夜を楽しんだだろうか。今年始まったばかりのナイトタイムエコノミー共創プロジェクト。両社は今後、効果検証を行いながら、季節に合わせた様々なコンテンツの開発を進めていく。観光事業者、異業種、地域の共創で広がるナイトタイムエコノミーの可能性。政府の訪日消費額目標である2030年15兆円に向けて、今後どのようなコンテンツが創出されていくのか、注目だ。

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