日本政府観光局(JNTO)は、2024年度の取り組みで、特に地方誘客に注力する方針だ。このほど開催したメディアブリーフィングで理事の中山理映子氏が今年度の取り組みを説明。昨年、政府が新たに決定した観光立国推進基本計画で掲げた「持続可能な観光」の実現に向け「地方を中心としたインバウンド誘客」「持続可能な観光地域づくり」「国内交流拡大」の3本柱を推進するなかで「今年は、地方誘客を重点的に行っていく(中山氏)」。
訪日マーケティングでは、全市場に対して航空会社や旅行会社と連携して販売促進を図る共同広告を展開する。アジア市場では地方含んだ旅行商品、滞在日数が長い傾向の欧州6市場では国内線の利用促進、全市場では年間を通じて地方の魅力を訴求する。また、アジア10市場では、昨年に続き大規模キャンペーンを展開。訪日回数2~5回程度のライトリピーターを対象に、OTAとの連携で予約や購入につながる施策とする。
能登半島の観光復興に向けては、被災地の風評被害を防止し、被災地域の観光の魅力や観光地に関する正確な情報発信を実施していく。欧米豪市場に向けてはメディア招請を行いサステナブル・ツーリズムの視点のストーリーを紹介。また、韓国、中国、台湾、香港からはインフルエンサーを招請し、SNSを通じた情報発信を行う。
関係省庁や地域と連携強化、地方へのMICE誘致も
地方誘客に向けて地域・関係機関との連携体制を強化する。全国10の広域連携DMOとの連携では、デジタルマーケティング支援や共同広告を実施。環境省、農水省、文化庁、国税庁やJETRO・JFOODOなどとの連携では、各省庁・関係機関が整備した観光コンテンツの海外向け発信に協力する。観光庁との連携では、観光庁が全国各地で支援するコンテンツをJNTOのオウンドメディアを活用して情報発信を行う。
国際会議の地方への誘致では、地方大学との連携を強化。誘致支援セミナーや主催者への支援を強化する。インセンティブ旅行の誘致では、知名度のある都市が中心になることが多いことから東京と地方都市を組み合わせた視察を実施する。インセンティブ旅行への意欲が高いスペイン、メキシコなどからは、旅行会社を招請し、中部や関西地方を視察する予定だ。
このほか、従来から重点を入れて取り組んできた高付加価値旅行やアドベンチャートラベル、サステナブル・ツーリズム、大阪・関西万博に向けた取り組みも継続して実施していく。
2024年3月には単月で初めて訪日客数が300万人を超えるなど活況を迎えているインバウンド市場。一方で、三大都市圏と地方部の回復率や宿泊者数には開きがある。JNTOでは、市場別の地方エリアへの訪問意識や嗜好をとらえ、戦略的に地方への誘客を実施していく考えだ。