日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)が2024年6月5日に第33回通常総会を開催した。大畑貴彦会長は、冒頭の挨拶で日本人の海外旅行の回復の遅れに対して危機感を示し、観光庁が双方向交流拡大に向けて推進する海外旅行回復への取り組みについて「より即効性のある施策と検討、具体的にいつまでに何を具現化すべきかマイルストーンの提示が必要」との考えを示した。
総会に来賓として出席した観光庁観光産業課長の庄司郁氏は、改めて双方向交流の拡大に向けてはアウトバウンドが重要との認識を強調。「双方向交流がなければ、航空路線など適切なインフラ整備はできないという認識で施策に取り組む。来年度の施策の議論も進めている」と話し、旅行業をはじめとした事業者との意見交換を進めていることに言及した。こうした取り組みで、よりよい政策を検討し、さらなる官民の連携による状況改善を目指す方針だ。
旅行会社間の取引条件の適正化への要望を継続
OTOAによると、昨年から引き続き、今年も海外ホテルを筆頭にほぼ全ての仕入れで値上げや支払いの厳格化が継続している。この傾向が続けば、すでに世界で激化している仕入れ競争が益々激しくなることが予想され、大畑会長は「それらを受け入れられない地域からの観光客は排除される」と危機感を示した。
世界各国のBtoB取引きでは、予約とともにデポジット、さらにはフルチャージでの支払いが一般化している。一方で、日本の旅行会社との取引きでは後払いが主流で、ツアーオペレーターが立て替えてきた経緯がある。OTOAでは、立て替えの支払いターム早期化、グローバル基準にあった取引きへの移行など要望してきた。大畑氏は、ツアーオペレーターと旅行会社間の取引条件の適正化は「日本の海外旅行を守るためにも、今後さらに前進させなければならない」と強調した。
2023年度は、仕入れ手配代金早期化、支払いタームの短縮などを盛り込んだ要望書を旅行大手6社の社長に手渡しで、中堅22社には要望書を送付した。すべての要望が改善されることにはならなかったものの、旅行会社からは「前向きな反応がみられた」と手ごたえを感じているという。
これを受けて、2024年度も改善に向けた活動を継続。具体的には、2023年の要望書提出後の状況をOTOA会員各社にアンケートを通じて調査する。OTOAとしては、その回答内容を把握したうえで個別の対応もおこなう考え。支払いタームの改善については、経理システムなどハードルがあるケースもあるものの、旅行会社への要望は継続していく方針だ。
トラベルボイス編集部 山岡薫